大切な方が孤独死や自殺をされた場合、残されたご家族は悲しみと同時に、住まいの処理について頭を悩ませることになります。特に、持ち家だった場合や分譲マンションは、売却を検討する方も多いでしょう。
孤独死・自殺物件は、一般的な物件とは異なり、売却には様々な手続きや注意点があります。さらに、特殊清掃の必要性も考慮する必要があります。
専門業者に相談し、適切な対策を講じることで、孤独死・自殺物件でも高値で売却することが可能です。
この記事では、孤独死・自殺物件の査定における特殊清掃の重要性と、高値で売却するためのポイントを詳しく解説します。
目次
特殊清掃の重要性
孤独死や自殺現場には、血液や体液などの感染性汚染物質が残っています。これらの物質は、感染症や悪臭の原因となるため、専門業者による特殊清掃が必要です。
特殊清掃は、単に汚れを落とすだけでなく、以下のような効果があります。
- 感染症の予防
- 悪臭の除去
- 心理的瑕疵の軽減
特殊清掃を行うことで、物件の価値を高め、高値で売却できる可能性が高くなります。
高値で売却するためのポイント
孤独死・自殺物件を高値で売却するには、以下のポイントを意識しましょう。
- 専門業者に相談する
- 特殊清掃を徹底する
- 心理的瑕疵への対応
- 適切な売却方法を選択する
- 書類の準備
- その他のポイント
※注意
特殊清掃は専門知識と技術が必要な作業です。必ず信頼できる業者に依頼するようにしてください。
専門業者に依頼する
特殊清掃を専門業者に依頼する際のポイントについては以下の通りです。
- 経験豊富な業者を選ぶ
- 複数業者から見積もりを取る
- 査定の依頼内容を明確にする
- 特殊清掃の必要性と費用について確認する
経験豊富な業者を選ぶ
特殊清掃を専門業者に依頼する際に、まず重要となるのが、経験豊富「実績のある」特殊清掃業者を選ぶという点です。
特殊清掃が必要になる現場の状況はさまざまです。
そのため、ある程度の手順というものは決まっていますが、その状況に合わせて臨機応変に対応する必要があります。
そのため、もし、万が一経験の少ない、実績の少ない業者に依頼してしまうと、現場状況によっては作業が不十分で終わってしまう可能性があります。
複数業者から見積もりを取る
実際に特殊清掃を依頼する際に、作業前にまず見積もりを取ってもらう必要があります。
この時のポイントとして、複数業者から見積もりを取り、費用を比較するのも手段の一つです。
複数の業者を比較することで、おおよその相場を知ることができます。
また、他の業者と見積もりを比較した時に、例えば、「Aの業者は他の業者と比較すると金額が安すぎる」
逆に、「Bの業者は他の業者と比較すると金額が高すぎる」など、極端に金額が違う業者がある場合には注意が必要です。
見積もりの内容を明確にする
実際に業者から見積もりを受け取った後は、その見積もりに不明点がないか確認することが重要です。
悪徳業者に多い例ですが、作業に関係のない項目が追加されている、あるいは不明瞭な項目が追加されているといったケースがあります。
もし、そのような項目を見つけた際には、本当にその作業が必要かどうか、不明瞭な点について、事前にしっかりと確認しておくことが肝心です。
特殊清掃の徹底
特殊清掃における主な作業内容と、費用に関しては以下をご参考ください。
作業内容 | 費用 | 単位 |
体液・血液の除去 | 40,000 | 状態により変動 |
消臭効果含む消毒剤の散布 | 1,500 | 1㎡ |
オゾン脱臭 | 50,000/2日目以降35,000~ | 1日 |
特殊塗料の塗布 | 10,000 (Wコーティング) | 1㎡ |
マットレスの処分(体液付着) | 10,000(軽度)/15,000(重度) | 1枚 |
畳の処分(体液付着) | 5,000(軽度)/10,000(重度) | 1枚 |
布団の処分(体液付着) | 5,000 | 1枚 |
クロス剥がし | 35,000 | 6畳程度まで |
査定への影響
特殊清掃の良し悪しで、不動産査定に影響があるかという点ですが、
確かに、影響があります。
ご遺体跡や腐敗臭など、孤独死があったという痕跡が残っている場合、不動産価値が大いに下がってしまう可能性があります。
そのため、孤独死が起きた物件の価値を下げないためには、専門的な知識と、高い技術力が必要になるのです。
心理的瑕疵への対応
心理的瑕疵(しんりてきかし)とは、物理的な瑕疵(欠陥や不具合)ではなく、借主・貸主に何らかの「心理的な」抵抗が生じる恐れのある要素のことを指します。
主に、自殺や孤独死、付近の墓地、嫌悪を感じる施設の立地などがその要素として挙げられます。
この「心理的瑕疵」という要素も物件の評価において、影響を及ぼす可能性があります。
法律上の告知義務
物件内で人が亡くなったから必ずしも告知されるかというと、ケースによっては告知義務がない場合があります。
告知しなければならないケースの判断基準は、「取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合」は告知することが原則となります。
- 他殺
- 自殺
- 事故死(日常生活における不慮の事故とはいえない場合)
- 原因が不明な死
- 自然死、不慮の事故等で特殊清掃が行われた場合
上記のようなケースに当てはまる場合、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるので、原則として告知が必要とされます。
一方で、告知が不要なケースは以下の通りです。
1.対象不動産で発生した「自然死・日常生活の中での不慮の死」(転倒・転落など)
2.対象不動産の隣接住戸、あるいは日常生活において通常使用することのない集合住宅の共用部分で発生した、「自然死・日常生活の中での不慮の死」以外の死の場合
また、それらの死で特殊清掃が行われた場合
3.賃貸の場合、対象不動産、あるいは日常生活において、通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した「自然死・日常生活の中での不慮の死」以外の死の場合
それらの死に特殊清掃が行われ、事案発生から3年間が経過した後の場合
このように告知義務が発生するケースには、死因・場所、特殊清掃が行われたか否かによっても異なります。
心理的瑕疵と査定額の関係
そもそも、心理的瑕疵物件を進んで購入したいという方は少ないでしょう。
そのため、基本的に相場より低い金額で売り出すことになると思われます。
心理的瑕疵の内容によって、金額の浮き沈みは異なりますが、他殺で5割、自殺では3割程度安くなるケースが多いといえます。
しかし、心理的瑕疵は人によって感じ方が違うため、事案の状況や立地によってはそこまで値が下がらないケースもあります。
そのため、事故物件だから、大幅に金額を下げなければ売れないというのも、一概には言い切れません。
売却方法の検討
不動産売却の主な方法として、「不動産仲介による売買」と「不動産会社よる買取」の2つのパターンがあります。
この2つには、それぞれメリット・デメリットがあり、状況によってどちらの方法で売却するか判断することが重要です。
不動産仲介
不動産仲介におけるメリット・デメリットの例は以下の通りです。
メリット1. 買取よりも高価格で売却できる可能性がある
大きなメリットの一つとして挙げられるのが、買取と比べて売却価格が高くなる可能性があるという点です。
不動産会社に支払う必要があるものは、仲介手数料のみであり、不動産が高く売れるタイミングを見極めて売却することもできるため、買取よりも比較的に高価格で契約が成立する可能性があります。
メリット2.手間を省ける
不動産売買には、売買契約書などの書類は欠かせませんが、契約手続きは複雑であるといえるでしょう。
十分な知識がない場合、契約違反を犯してしまい、トラブルを招いたとしても自分で対応する必要があります。
その点、専門的な不動産会社に相談することで、それらの手間が省けるといったメリットも挙げられます。
デメリット1. 短期間での売却が難しい
売却までに、買主探しや買主の住宅ローン審査、契約などのさまざまな手続きを行う必要があります。
短期間で売却できるケースもありますが、基本的には、平均的に約半年ほどかかると、みておいた方がよいでしょう。
デメリット2.仲介手数料がかかる
当然のことながら、不動産会社の仲介業務に対する報酬として、仲介手数料の支払いが発生します。
宅地建物取引業法によって、不動産会社が受け取る仲介手数料は上限が定められていますが、下限については設けられていません。
また、売却金額に応じての割合になっているため、仲介手数料は不動産会社によって大きく異なる場合があります。
どんな人が向いている?
仲介に向いているのは、売却の期限に比較的余裕がある場合や、需要の高い物件を所有している方の場合です。
ポイントとして以下のような点が当てはまる場合は仲介を選ぶのがおすすめだといえるでしょう。
- できるだけ高く売りたい
- 売却を急いでいない
- 好立地、人気設備といった、好条件が揃っている
不動産買取
不動産買取におけるメリット・デメリットの例は以下の通りです。
メリット1.仲介と比べて売却期間が短い
買取は、不動産会社に直接その物件を買い取ってもらうという方法のため、買主を探す必要もなく、仲介よりも短期間で売却できるケースが多いでしょう。
また、心理的瑕疵物件は、一般的な不動産と比較すると、どうしても売れにくい傾向があり、売却まで長期間を要する場合があります。
早急な売却をお考えの方は、不動産会社による買取も視野に入れてみてもよいでしょう。
メリット2.築古の物件でも売却しやすい
築古の物件は、一般的に売れにくい傾向があることは確かですが、不動産会社によって古い物件を中心に買取を行っている場合もあります。
デメリット1.売却価格が低い
不動産会社は買取した不動産に、リノベーションなどの付加価値をつけた上で、販売するケースが多く、不動産会社はその中で利益を出す必要があり、買取価格が相場価格の6割~8割ほどになる場合があります。
デメリット2.買取できない場合もある
建物の破損や室内状況が悪い場合でも、よっぽどのことがなければ買取可能な場合がほとんどですが、老朽化により活用が難しい場合、再建築が不可能な場合は、買取ができないと言われてしまうケースも中にはあります。
どんな人が向いている?
買取に向いているのは、早急な売却を求めている場合や、仲介では売りにくい物件を抱えている場合です。
仲介による不動産売却に比べると売却価格は安くなってしまうという点はありますが、通常の不動産売却とは異なり、買主を探す必要がないため、現金化までが早いという大きなメリットがあります。
ポイントとして以下のような点が当てはまる場合は買取を選ぶのがおすすめだといえるでしょう。
- 相続で売却を急いでいる
- すぐに現金がほしい
- 築古、瑕疵あり物件など買い手が付きにくい条件の物件を所有している
- 仲介で買い手がつかない
特殊清掃済み物件の売却戦略
特殊清掃済み物件は、通常の物件よりも売却が難しく、価格も低くなる傾向がありますが、適切な売却戦略を立てることで、スムーズに売却することが可能です。
特殊清掃済みの物件を売却する際のポイントとしては以下の通りです。
1.告知義務を果たす
前文でも述べたように、告知義務が発生する条件は、状況によって異なりますが、
基本的に、孤独死や自殺物件において特殊清掃を行った場合は、ほぼ告知義務が発生すると考えておいて良いでしょう。
告知義務は、宅地建物取引業法によって定められており、違反すると罰則を受ける可能性があるため、注意が必要です。
2.専門家への相談
特殊清掃済み物件の売却は、複雑な手続きや法律上の問題も絡んでくるため、専門家に相談することをおすすめします。
この時の専門家として、専門家には、弁護士、司法書士、不動産会社、などがいますがそれぞれの専門家からアドバイスを受けることで、スムーズな売却が可能になります。
3.価格設定
特殊清掃済みの物件の売却価格が、相場よりも低くなってしまうことを理解しておきましょう。
物件によって、どれだけ価格が下がってしまうかは異なりますが、不動産仲介の方法を取ることによって、価格をあげることも可能です。
しかし、一度孤独死が発生してしまった不動産の場合は、買主がなかなか見つからないといったケースもよくあるため、すぐに売却したい場合は不動産買取の方法も考慮しておいた方がよいでしょう。
孤独死を未然に防ぐ
孤独死が一度起きてしまうと、対処やその後の運用・売却に大きな影響を与えてしまいます。
そのため、そもそも特殊清掃を必要としないようにすることが重要だといえるでしょう。
孤独死を未然に防ぐ方法として以下のようなものが挙げられます。
- 管理会社に確認依頼を出す
- ホームセキュリティーの利用
- 賃貸契約を結ぶ相手を把握する
管理会社に確認依頼を出す
不動産の管理を管理会社に依頼している場合、定期的な入居者の情報を知るために、定期的に確認してもらうことも、対策の一つです。
実際に訪問してしてもらう他、定期的に電話をするだけでも十分に効果を得ることができます。
持病や、健康に問題がある入居者の方がいる場合は、特に注意する必要があります。
ホームセキュリティーの利用
よく、コマーシャルなどで目にすることもあるかと思いますが、ホームセキュリティーを利用することで孤独死を未然に防ぐことが可能です。
日常生活において、必要な電気や水道・ガスなどの利用状況を確認することで、何日も使われていない場合はセキュリティー会社に連絡が行き、結果的に安否を確認することができます。
賃貸契約を結ぶ相手を把握する
高齢者で身寄りがない場合、家族や周囲と疎遠状態になっている場合、孤独死が起きてもなかなか発見されないケースが多くあります。
そのため、賃貸契約を結ぶ相手がどんな人なのかをしっかりと把握することが大切だといえるでしょう。
~まとめ~
ここまで、孤独死、自死物件においての特殊清掃の大切さと、売却する際のポイントについてご紹介させていただきました。
孤独死・自殺物件の査定は、一般的な物件よりも注意が必要です。特殊清掃は、高値で売却するために必須の対策であり、費用や清掃後の臭い対策なども考慮する必要があります。
また、そもそも事故物件にしないための対策をしっかりと把握し、実際に活用していくことで、
孤独死を防ぐことも可能です。
専門業者に相談し、適切な対策を講じることで、高値での売却を目指すとともに、いざという時に慌てずに対処できるように、正しい知識と懸念すべきリスクについて事前に把握しておくことが重要だといえます。
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