ご依頼経緯
過去にも弊社をご利用してくれたことのある不動産管理会社様からのご紹介で、管理会社の近くにお住いの大家さんから作業ご依頼のご相談をいただきました。事前情報としては、50代男性が賃貸物件内でお亡くなりになられたとのこと。警察のかたからは臭いが強く入室はしないよう言われたとのこと。
故人には息子さんがいるが疎遠の為相続放棄する旨の連絡があったということでした。
大家さんは60代。今回がもち物件で初めての孤独死とのことでご近所の不動産会社に相談に行ったことがきっかけで弊社が作業させていただく事になりました。
現場状況
季節はGW明け、長袖での作業は汗ばむ陽気のころ。日当たりの良い室内の温度は暑いと感じるようなそんな状況の中の連絡でした。死後10日~15日くらいとのこと。和室が2間続きになっている平屋型の戸建て賃貸。赤黒い体液の量は少なく見えますが、広範囲に油脂が広がっているのが印象的な現場でした。ウジ虫がおおく畳の隙間に潜っていくため早めの作業が必須の状況です。
今回は家財整理作業も併せて行いますが、整頓されて室内の荷物から故人が職人さんだったことがうかがえます。自宅内も使い勝手がいいようにDIYされている場所がところどころ。
自炊もされていたのでしょう。台所には調理器具や食品がたくさんありました。
作業時の様子
畳の上でお亡くなりになっていた場合、体液が畳を浸透してしまったり、畳のヘリをつたって荒板や根太に流れてしまうことがあります。今回も表面に見える体液量より畳の下、そして基礎部分に流れてしまった体液のほうが多かったです。和室でお亡くなりになった場合、“畳を処分すれば大丈夫”と思われがちですが案外それで済むことのほうが少ないように思います。
畳下の荒板のみでなく根太、大引き、土間基礎部分にも体液が流れてしまっているのが分かります。
このまま畳を新しく入れてしまえば見えないから大丈夫だろうと思うのは危険なのでご注意ください!
臭いが残ってしまいまい再度賃貸に貸し出すことが難しくなってしまいます。
荒板、根太は解体。大引きは油脂の脱脂作業をとことん行います。人の脂は薄い黄色、サラダ油のような色味のため一見すると分かりにくいですがしっかりと洗浄を行い臭いの発生源をなくしていきます。
これでも問題はないのですが、念のためコーティング作業を行いました。
基礎に流れた体液は取り除き消臭作業を行います。見えない部分もしっかり作業を行う、私たちの大切にしていることです。
特殊清掃、家財整理作業を終えヤニ取りクリーニング。消臭をするうえでクリーニングはとても大切な作業です。埃やヤニのべたべたにも臭いが染み込んでいるからです。
最後は解体した荒板と根太を新しいものに変えオゾン燻蒸で仕上げ消臭。
畳は次の入居者が決まり次第大家さんのほうで新しくするとのことでった為、このままの状態でのお引渡しとなりました。今回は見た目以上に体液の浸透具合が多く、作業報告書を見た大家さんは驚かれていました。特殊清掃という仕事があることはメディア情報で知ってくださってはいたものの具体的にどのような作業をおこなうのか、金額は高額すぎないかなど心配な点も多かったようです。それもそうですよね。私たちの仕事は表舞台には出ることがないですから。
心配されていた臭い問題も解決し、物件を解体することなく再度賃貸出来ることを喜んでいただけました。
故人が長年住んだこのお部屋。男性の一人暮らしでしたが全体的に整理整頓されていました。
息子さんとの関係性は分かりませんが、室内からは友人や仕事仲間との思い出の写真がたくさん出てきて孤独死という最期だったかもしれないけど決して孤独な人生ではなかったと安堵しました。
50代という若さでお亡くなりになられてしまった故人様のご冥福をお祈りいたします。
- ご依頼者:物件オーナー様
- 場所:茨城県土浦市
- 作業内容:特殊清掃、遺品整理、内装部分解体
- 作業人数:のべ4名
- 建物:2DK賃貸アパート
- 費用:380,000円