台風や線状降水帯による床下の浸水被害。何をどこまでしたらいいのか分からない方も多いのかと思います。実際に私たちSweepersの公式ラインには大雨の警報が出ると様々な問い合わせがあります。
床下の消毒はしたほうがいいのだろうか?何か自分たちでできることはないのか?保険は使えるのか?この記事を見てくださっている方のなかにもこのような心配事がある方がいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では皆様から多くお問い合わせいただく内容をまとめてみました。
ぜひ参考にしていただけたらと思います。
目次
水害後の消毒 に関するよくある質問 と答えまとめ
Q1:水害後、必ず消毒する必要がありますか?
床下浸水したときの消毒は原則不要です。このことについては、厚生労働省が公式サイト「被災した家屋での感染症対策」で案内されています。床下浸水してしまったときに特に重要となる対処として厚生労働省が示しているのは、清掃と乾燥の2点です。
しかし、ひとまとめに消毒の必要がないとは言えず、消毒したほうがいい事例ももちろんあります。
一例としては下の図にまとめてみました。
①氾濫した河川の水が流れて浸水してしまった場合
②下水や浄化槽からの水があふれて浸水してしまった場合
③床下が乾燥しにくい構造になっている
④新築、築浅、小さなお子様や高齢者が住んでいて健康被害が気になる方
これらに該当する場合は床下のカビの発生や感染症などの二次感染予防の観点から消毒を推奨しております。
Q2:どのような場所を消毒すればよいですか?
A2:水害によって浸水したすべての場所が消毒対象となります。
特に、以下の場所は念入りに消毒しましょう。
衣類: 水に浸かった衣類は、洗濯後、消毒が必要です。
床: 水や泥が染み込んだ床は、カビや細菌の温床になりやすいです。
壁: 壁の隙間や裏側も消毒が必要です。
家具: 水に浸かった家具は、表面だけでなく内部も消毒が必要です。合板を使用した家具は水を含み膨らんでしまうため使用が難しい場合もあります。
水害後の消毒を行う際はまず先に汚れを取り除き、しっかり乾燥をさせてから消毒を行います。汚れが付着していたり、濡れた状態で消毒を行っても肝心の消毒効果は半減してしまいます。室内全体も乾燥させる必要があるため、可能な限り室内の荷物は外に出し送風機や先夫機などで風を当て乾燥させていくことを優先してください。乾燥を怠ると臭いやカビが発生してしまう原因にもなります。
Q3:どのような消毒方法がありますか?
私たちのような水害復旧業者は、建物や人体に害のないものを使用して消毒を行います。
ご自身で消毒を行う際は市販されている以下のようなものをご使用ください。ドラックストアや薬局で購入が可能です。※使用の際は安全面にご注意ください※
消毒薬 | 使用濃度 | 適しているもの | 消毒方法 | 注意点 |
次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤など | 0.02%(濃度6%のものを使用する場合は、薬液を300倍になるように水で薄める) | 飲食器具、調理器具、台所用品、おもちゃ、プラスチック製品など | 薬液に5分程度浸してから水洗いする。 金属製品には使用しない。 | 塩素系漂白剤は、衣類や家具、床などを変色させる可能性がある。使用前に目立たない場所で試してから使用する。 塩素系漂白剤は、他の洗剤や消毒薬と混ぜると、有害なガスが発生する可能性がある。混ぜないこと。 |
塩化ベンザルコニウム(逆性石けん) | 0.1%(薬液を100倍になるように水で薄める) | 家具、床、壁、衣類など | 雑巾に浸して拭き取る。 ゴム製品には使用しない。 | 塩化ベンザルコニウムは、塩素系漂白剤と混ぜると、効果がなくなる可能性がある。混ぜないこと。 |
アルコール消毒薬 | 薄めずにそのまま使用する | 手指、皮膚 | 手指を30秒以上もみ洗いする。 皮膚の場合は、患部に塗布する。 | 効果が持続しないため、こまめに消毒する必要がある。 |
食品用アルコール | 薄めずにそのまま使用する | 食品 | 食品に直接かける。 | |
重曹 | 床、家具、衣類など | 水で溶かして使用するか、そのまま振りかける。 | 消臭効果がある。 |
ゴム手袋、マスク、ゴーグルなどを着用する。
換気を十分に行う。
目や口に入らないように注意する。
子供の手の届かないところに保管する。
Q4:床下や床上浸水の消毒手順はありますか?
基本的な作業手順は床上・床下同様です。
①水の排水、除去作業を行う
水に浸かった建物や家財道具は、腐食やカビなどの原因となり、劣化が早まります。そのため、速やかに水を排水することで建物や家財道具の被害を軽減することができます。
また、浸水した水には、下水や汚物が混ざっている場合が多く、感染症を引き起こす可能性があります。いち早く排水することで感染症の予防に繋がります。何よりも排水作業を行う事で復旧作業がスムーズに進められます。
※感電に注意する:電気系統が水に浸かっている場合は、感電する危険があります。感電しないよう、必ずブレーカーを落としてから作業を行ってください。
浸水時の排水方法浸水時の排水方法は、状況によって異なりますが、以下のような方法があります。
ポンプで排水する:最も一般的な方法です。手動ポンプや電動ポンプを使って、水を排水します。
バケツで排水する:ポンプがない場合は、バケツやタオルを使って水を排水することもできます。ただし、相当な時間がかかりまのでご注意ください。
②泥や汚れの除去作業を行う
泥や汚れの中には、カビやダニなどの有害な微生物が含まれている場合があります。これらの微生物は、アレルギーや呼吸器疾患などの健康被害を引き起こす可能性があります。泥や汚れを拭き取ることで、これらの微生物の繁殖を抑制し、健康被害を防ぐことができます。また、のちに行う消毒効果を十分に発揮させるためにも汚れの除去は重要となります。
水害時の泥や汚れの拭き方は、状況によって異なりますが、以下のような方法があります。
雑巾で拭き取る:最も一般的な方法です。水で濡らした雑巾を使って、泥や汚れを拭き取ります。
ホースで洗い流す:水圧で泥や汚れを洗い流すことができます。ただし、高圧洗浄を使用する際は、周囲に汚を広げないように注意する必要があります。
高圧洗浄機を使う:頑固な泥や汚れを落とすことができます。ただし、建物の壁や家具などを傷つけないように注意する必要があります。
専門業者に依頼する:広範囲な場合は自分たちで泥や汚れを拭きとりするのが難しいので、専門業者に依頼することの可能です。
③換気口の汚れ除去作業を行う
床下の換気口は、家屋の下部に設けられた通気口で、室内の湿気や熱を外に排出する重要な役割を担っています。しかし、水害時に気付かず放置していると、換気効率が大幅に低下してしまいます。換気口の汚れを落とさないまま放置すると、以下のような問題が発生する可能性があります。
1. カビやダニの繁殖
換気口は、湿気が溜まりやすい場所です。汚れが溜まった換気口は、カビやダニにとって格好の住処となり、繁殖しやすくなります。カビやダニは、アレルギーや呼吸器疾患などの健康被害を引き起こす可能性があります。
2. 換気効率の低下
換気口が汚れで塞がれてしまうと、室内の湿気や熱を外に排出することができなくなり、換気効率が低下します。換気効率が低下すると、結露が発生しやすくなり、カビやダニの繁殖をさらに促進してしまう悪循環に陥ります。
3. シロアリ被害のリスク
シロアリは、湿気や暗闇を好む害虫です。汚れが溜まった換気口は、シロアリにとって侵入しやすい場所となります。シロアリが侵入すると、家屋を構造的に損傷させ、大きな被害をもたらす可能性があります。
4. 悪臭発生
汚れが溜まった換気口からは、悪臭が発生することがあります。特に、カビやダニの死骸や排泄物は、強い悪臭を放ち、室内環境を悪化させてしまいます。
5. 家屋の寿命低下
換気口の汚れは、家屋の劣化を早めます。換気効率が低下すると、結露が発生しやすくなり、木造家屋の場合は柱や梁が腐食したり、鉄筋コンクリート造の場合は鉄筋が錆びたりして、家屋の寿命が縮んでしまいます。
床下の換気口の掃除方法
換気口の蓋を外し洗浄、ゴミの除去を行いましょう。たったこれだけで風通しが良くなります。
④素早く乾燥を行う
消毒薬の効果を高める
消毒薬は、乾燥した表面に付着すると効果を発揮しやすくなります。一方、湿った表面では、消毒薬が水で薄まって効果が弱くなってしまうことがあります。そのため、消毒前に乾燥させることで、消毒薬が効果的に作用し、菌やウイルスを死滅させることができます。
濡れたままの状態で消毒を行っても効果がないので、しっかり乾燥させてから行うようにしてください。
消毒前に乾燥させる方法
消毒前に乾燥させる方法は、状況によって異なりますが、以下のような方法があります。
- 自然乾燥:換気口を開け、扇風機などを設置して、自然に乾燥させる方法です。
- 除湿機を使う:除湿機を使って、床下の湿気を強制的に除去する方法です。
- 専門業者に依頼する:自分たちで乾燥するのが難しい場合は、専門業者に依頼し強力な送風機や大型の除湿器を設置してもらいましょう。
消毒前に乾燥させる際の注意点
- 床下の乾燥を行う前に、必ず電気系統が水に浸かしていないことを確認してください。感電する危険があります。
- 床下に溜まった泥やゴミなどは、取り除いてから乾燥させましょう。
- 乾燥中は、換気を十分に行いましょう。
- 乾燥具合を確認するため、床下の湿度計を設置しましょう。
水害後の消毒は、家屋の衛生状態を回復するために重要な作業です。消毒前に乾燥させることで、消毒薬の効果を高め、カビやシロアリの繁殖を防ぎ、作業効率を上げ、悪臭を抑制することができます。
以上が消毒までの作業工程となります。手順を知り消毒効果を十分に高めて使用しましょう!
Q5: 消毒は自分でやるべきですか?
床下に潜って作業ができそうであればご自身で行う事も可能です。床下での作業風景の様子です。成人男性がうつぶせ状態での空間のイメージが伝わるでしょうか。汚泥の排出や洗浄に必要な道具を持ち作業が問題なく行えそうであればというところでしょうか。
体力や機材をそろえるのが難しい場合は、水害復旧を行っている業者に依頼されたほうが安心かもしれません。※悪徳業者が増えておりますので消毒剤を噴霧するだけの業者にご注意ください。
Q6: 消毒業者の選び方は?
実績: 水害後の消毒に関する実績があるかどうかを一つの判断材料にされるといいでしょう。水害の復旧は保険をご使用されるお客様も多く保険や罹災証明について、また市町村による補助金申請についてもアドバイスをもらえるはずです。反対にむやみに床を剥がしたり、洗浄することなく消毒剤を撒くだけの業者は悪徳業者の可能性があるため注意したほうがいいかもしれません。
Q7: 浸水被害後消毒業者に依頼するタイミングはいつ?
可能な限り早めのご依頼をお勧めいたします。弊社には浸水前からお問い合わせが多くきます。
浸水後の迅速な初期対応は家屋へのダメージを最小限に抑えるだけでなく、カビや悪臭などの二次被害を最小限におさえるためにも重要です!!何からしたらいいのかわからない段階で、まずはお問い合わせいただいて大丈夫です。
Q8: カビが生えてしまった場合対応してもらえるのか
もちろんカビの対応も可能です。カビは人体への悪影響だけでなくシロアリの発生の原因ともなるため対策が必要です。写真は水害後の壁(石膏ボード)裏のカビです。生えてしまったカビの対応はもちろんのこと防カビ処理も同時に行う事が可能です。
カビ取り、防カビに関する料金はこちらよりご確認ください。
Q9: 水害消毒中は家にいないほうがいいですか?
床下浸水の復旧作業(床下洗浄消毒)は床下のみですのでお客様は通常通りの生活で問題ございません。
使用する薬剤も人体に害のない無臭タイプのものですので小さなお子様やペットがいても問題ございません。洗浄や乾燥に使用する機械の音で少々うるさくなってしまいますがご了承ください。
Q10: 費用は前払いですか?
基本的には作業完了後お振り込みにてお願いしております。お客様のご要望があれば現金でも問題ございませんが現金払いの場合あらかじめお知らせください。また、昨年の水害復旧に関する自治体のトラブル事例の多くは、悪徳業者による前払いだったこともあり前払いを強制する業者にはご注意ください。
まとめ
今回は水害が発生した後の洗浄や消毒、カビ対策に関するお客様から多い質問をまとめてみました。
これから台風やゲリラ豪雨、線状降水帯による浸水被害が増える季節になります。
水害被害にあわれるお客様の多くは初めてのことでどこに問い合わせていいのか分からない方ばかりです。まずは身の安全を最優先に考え、安全が確保できてから復旧のために動きましょう。