高齢化社会という言葉が浸透してきたのは何年前からでしょうか。
世代に問わず高齢化社会における課題点をそれぞれの立場から少なからず意識を持っていることでしょう。
課題点がさまざまな箇所で浮き彫りになっている今、問題の1つになっている「孤独死」について考えてみました。
私たちSweepersへのご相談内容の中でも上位に入っているのは「孤独死後の原状回復」になります。
孤独死を遂げている方の内訳では、高齢者が多かったのは少し前の話で最近では中年層や若年層へも広がりをみせているのが実情になります。
Sweepersは特殊清掃を行う会社ですが、作業を行うにあたり、ご遺族の悲しみは計り知れず、故人の思い出の物をご遺族に確実に受け渡すことで少しでも心の整理のお手伝いもできればと考えています。
大切なご家族や知人が不慮の死を遂げないためにも、周囲にいる方ができる対策を含め、孤独死の実情を解説していきます。
目次
周囲の方が今すぐできる|身内や知人の孤独死を防ぐ対策
核家族化が昨今の家族形態の主流ですが、もし親を含め高齢の親族が1人暮らしをしているようであれば、具体的な対策を周りにいる人たちが行うことで孤独死を防ぐことができます。
難しいことはなく、ほんの少しの方法でできることなので、対策を講じてみてはいかがでしょうか。
- 家族や知人からの定期的な連絡
- 自治体とのコミュニケーション
- 見守りサービス
- 民間の訪問サービス
家族や知人からの定期的な連絡
私自身も実家の家族とは離れて暮らしている所謂核家族の家族形態になります。
しかも新幹線や電車を利用しなければ実家へは帰省することができないため、頻繁に顔を出すことはできません。
私のように実家とは遠方に暮らしているご家族は多いのではないでしょうか。
しかし、離れていても定期的に連絡を取ったり、兄弟や親戚が実家の周辺に住んでいるなら、親以外の親族とも連絡を取り合う関係性を継続しておくことで柔軟に対応が取れることになります。
普段から周囲との協力体制を作っておくことは、いざというときでもお互いに頼ることができ、急な体調の変化など家族が本人に代わって必要な連絡をすることができるのです。
自治体とのコミュニケーション
各自治体でもさまざまなコミュニティーを作っています。
同じ趣味を持つ方が集まったり、気軽なおしゃべり、また習い事などもできるようなサービスを展開している自治体もありますよね。
困ったときは「〜市役所(町役場)の〜課の〜さんへ相談できる」という存在の方がいるとよりベストです。
ご本人にとっては、家族や親族の方が相談しづらいこともあるかもしれません。
そんな時に別の相談先、話しのできる場所を作っておくことが孤独からも遠ざかる方法になるでしょう。
見守りサービスの利用
民間企業が提供している離れていてもセンサーで人の確認ができるというシステムを導入するのも1つの方法です。
もちろん有料にはなりますが、遠方にいるご家族は何かあった時にすぐ察知できるというメリットも兼ね備えているため安心ですよね。
カメラで監視する訳ではなく、明るさや温度で確認できるのもプライバシーの確保が取れる安心ポイントです。
民間の訪問サービス
地域によっては、日々の買い物や通院など、徒歩ではなかなか行きづらい場所もあるでしょう。
また買い出しは遠くはないが平地ではなく坂道が多いなどの理由でも、歩いて向かうのは難しいかもしれません。
そんな時に頼れる民間の訪問サービスを実施している地域もあります。
自治体とも連携を取っているため、詳しくは各自治体窓口に問い合わせてみてくださいね。
例えば、スーパーで〜を買ってきて欲しいや、通院のため連れて行ってほしいなど、1人ではできないことをサポートしてくれたり、購入品が決まっている場合は代わりに買ってきてくれるなど、ご自身に合うサポート対応してくれます。
民間になるため有料にはなりますが、日々の少しのサポートをしてくれること、決まった日にちに顔を合わせることができ会話ができることは、単身で暮らしている高齢者にとっても寄り添える場所の1つになりますよね。
孤独死の原因は3つ
さて、孤独死(発見が遅れてしまう事)の原因にはどのような理由が背景にあるのでしょうか。
ここでは3つの原因について解説していきますが、共通点は「周囲からの孤立」であることが分かります。
- 人付き合いの希薄
- 頼れる人がいない
- 施設に入所できない
人付き合いの希薄
かつてはご近所とのコミュニティーが密に形成されている地域が多かったのが、ご近所ならではのマイナス面が浮き彫りになってくると、コミュニティー形成が薄くなってきた地域も多いのではないでしょうか。
マイナス要素もありますが、お隣さんとの関係を保っていることで、急病で倒れてしまったときにすぐに駆け付けてくれたり、お互いに病気の際に助け合うという精神が働くこともあります。
必要以上に密になる必要性はもちろんありませんが、何かあったときに互いに助け合える関係性は維持しておくことがプラスとなることも多いのではないでしょうか。
頼れる人がいない
ご近所付き合いとも繋がるところですが、近所だけでなく自治体、民間、また親族も含め、頼りたいけれど頼めないという方も多いようです。
これは平成23年内閣府が実施した調査結果によるものですが、困った時に頼れる人がいない人の割合を調査した結果になります。
非常に驚く結果でしたが、60歳以上の5人に1人の割合で誰にも頼ることができないと回答していました。
社会から孤立していくと何かあったとき、また孤独死を遂げたとしても発見まで遅れてしまうことも考えられます。
元気な高齢者が多いとはいえ、今は1人で身の回りの生活ができるので不自由はないかもしれませんが、先々のことも踏まえ、日頃から誰かと会話をするということを意識的に実行していくことは、若々しく保つこともでき、どこかのコミュニティーの中にいるという安心にも繋がります。
施設へ入所できない
数年前に発表された老後に必要な資金が2000万円という事実。
介護施設に早期に入所できれば介護も含めて生活を送ることができ、介護士やケアマネージャーなどの専門的な人の近くで生活できるため、ご本人や家族にとっても非常に安心です。
しかし、入所時の費用が抑えられても入所後のコストが高額になってしまう施設もあり、老後に必要となる資金が用意できないため入所ができないという理由もあるようです。
また、人気の施設は待機も多く、入りたくても順番が回ってこないこともあり、入りたいのに入れないという現象が起きているのも実情です。
家族に頼れない理由とは
記事の冒頭でも触れていますが核家族化が主流となっており、ひと昔前の時代とは異なり、親世帯と子世帯がそれぞれの家を所有しながら暮らしているのが今の家族の在り方の1つになります。
その地域も遠方であることも多く、例えば私のように、実家は長野、子世帯が茨城というケースも珍しくありません。
親族の関係も各家族によって異なりますよね。
定期的に連絡を取ったり、盆正月に集まったりするご家庭もあれば、あまり集まらないご家庭もあり、その形は非常に多様になります。
やはり会う数が少なくなれば関係性にもおのずと影響を及ぼし、結果的に単身暮らしの高齢者が頼れないと感じてしまうこともあるでしょう。
家族が孤独死を遂げてしまったときの親族の対応
できる対策や予防を周囲の方やご本人が行っても防ぎようのない状況になってしまうことはあります。
私自身も両親が急な体調の変化があってもすぐに駆け付けられないことがありました。
幸い、兄家族が近所に住んでいるため、両親に何かあればすぐに対応できるような環境を作れています。
そんな環境でもやはり両親の具合が悪かったり、車をまだ運転していることは心配です。
私のような環境を保っていても万が一の状況は回避できないことも有り得ます。
そこで、ご家族が孤独死を遂げてしまったときの親族のその後の対応を解説していきましょう。
より詳しい解説は過去の記事からご参考ください。
賃貸物件に住んでいる身内が孤独死|そのとき親族が取るべき対応と原状回復の詳細
ここでは大きく4つに分けて対応を解説します。
- 孤独死の連絡
- 葬儀の執り行い
- 特殊清掃
- 遺品整理
孤独死の連絡
離れている家族が孤独死を遂げた場合、第一発見者が警察や救急に連絡を入れるはずです。
もし賃貸物件に住んでいるなら大家さんやお隣さん、また近くに住んでいる知人が第一発見者になる可能性が高いです。
いずれにせよ、第一発見者が警察と消防へ連絡を入れ、その後、警察によって遺体が引き取られ検死が行われます。
検死が全て終わるとご遺体から近い血縁関係の順に警察より連絡が入ります。
遺体の引き取りと同時に死体検案書を警察より預かるので、市役所で死亡届を提出します。
葬儀の執り行い
死亡届は死後7日以内に提出します。
ご遺族の方々は鎮痛な思いを抱きつつも、法的に必要な手続きを進めていかなければならないためお気持ちを思うと言葉になりません。
死亡届後、葬儀の準備、葬儀を行うのが一般的な流れとなります。
特殊清掃
基本的に警察による現場検証が終了しなければ故人の住まいに立ち入ることはいくら親族でもできません。
特殊清掃は現場検証が終了した後になるため、どこの業者にお願いするかは、予め決めておいた方がスムーズになります。
特殊清掃業者の選定については過去の記事をご参考ください。
亡くなってから発見まで数日かかった場合、遺体が損傷し特有の臭いが部屋中に充満してしまいます。
また個人で清掃をしようとするには心情的にも非常に酷な状況になるため、おすすめできません。
孤独死のような特殊清掃が必要な場合は、私たちSweepersのような特殊清掃の専門業者に依頼することで部屋の状態や臭いも元に戻すことができますし、何よりご遺族の精神的な負担も軽減されます。
孤独死による特殊清掃はSweepersにお任せください
私たちSweepersではただ特殊清掃を行うことだけでなく、部屋を元の状態に原状回復させます。
お部屋の状態のほかに、遺品整理も同時にご依頼いただくことで、ご遺族のご負担も軽減させていただきます。
Sweepersでは専門業者ならではの経験豊富な熟練のスタッフ、お客様のご要望があれば女性のみのチームを編成してご対応させていただくことも可能です。
365日24時間、全国で作業の対応もできるので、早急に作業に入って欲しいというご依頼もお引き受けできます。
孤独死による特殊清掃のご相談などはお気軽にお問合せフォームか公式LINEまでご連絡ください。
遺品整理
故人が残された家財や遺品を残すものとそうでないものを仕分けしていくのが遺品整理になります。
特殊清掃が必要な故人の住まいでは、遺品にも腐敗臭が染み込んでしまっています。
特殊清掃と遺品整理、必要であれば原状回復工事や不動産売却、解体作業までワンストップで提供している特殊清掃会社もあるので、そういった業者に依頼することが最もご遺族にとっては非常に負担が少ない方法です。
孤独死の発生件数と発見されるまでの日数
孤独死が発見される状況は、音信不通が51.3%、異臭や水漏れなどが25.1%で全体の大半を占めています。
音信不通の場合は、当事者と連絡が取れないことを不安視し、近隣住民が発見するケース、また異臭や水漏れも当事者が集合住宅に住んでいる場合、隣、上下階からの通報で発見されています。
音信不通での発見は、亡くなってから3日以内に発見される場合もあれば、発見が遅れ亡くなってから30日以上経過した場合もあります。
また、一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会 第5回孤独死現状レポートによると、孤独死人数は4448人、死亡時の平均年齢は61.6歳という結果が出ています。
そのうち60歳以上が全体の30%を超えており、今後も高齢化が加速すると言われているため、引き続きこの数字は注視しなければいけません。
またレポートを見ても分かるように、死亡後から発見されるまでの日数が平均17日、ずっと発見されなかった方は90日以上との結果も出ていました。Sweepersでは死後2年弱経過した孤独死の清掃を承ったこともあります。
このことから、孤独死後、発見されるまである程度日数を要することも分かり、発見されたときには遺体の腐敗が進んでいることも考えられるため、これまで述べてきたように、その後のご遺族の対応として特殊清掃業者に依頼することが負担を抑える方法の1つと言えるでしょう。
まとめ
スマホの普及が当たり前になっている世の中ですが、シニア世代の推移は60代で8割、70代で7割と高齢者のスマホ所有も右肩上がりという結果が出ています。
とはいえ、使い方の観点から見ると、60歳〜69歳までが73.4%、70歳以上になると40.8%の利用率に留まっており、スマホは所有しているけれど使いこなせていないという結果がよく分かります。
こういった状況でSNSを使い周囲とコミュニケーションを広げましょうと言われても、SNSの利用やメリットがシニア世代に届かなくては意味がありませんよね。
高齢者ご本人が社会との繋がりを保ち、その繋がりこそが孤独死を防止する方法であるなら、日々使うスマホの使い方のレッスンが受けられる体制も必要ではと考えます。
こういう繋がりを持つことで「学び」や「同じ世代との交流」にも結果的に繋がり、必然的に「習いに行く」という行動になるため自然と周囲との関わりを保てるのです。
また、こういった交流場所があることを本人が知ることができることも必要ですよね。
1人暮らしとはいえ、離れているご家族のサポートはご本人の初めの一歩の後押しにもなるものです。
高齢化社会の課題は孤独死だけではありませんが、私たち周囲にいる家族が離れていてもサポートすることで少しでも孤独死を遂げる方が減少する予防策になるでしょう。