※NHKクローズアップ現代「全国危機マップ」https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4893/
雨漏りや水漏れ…誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。
しかし、それが実際に自分の身に降りかかってきたらと思うと、大きな不安を覚えることに違いありません。
一般住宅における漏水は、建物の構造や設備を深刻に損傷させ、住環境を悪化させるだけでなく、健康被害や経済的な損失を招きかねない恐るべき問題なのです。
築年数の経過や経年劣化、突発的な災害など、漏水の原因は様々ですが、いずれの場合も早期発見と適切な対処が重要です。
放置すれば、カビやダニの繁殖による健康被害、床や壁の腐食による建物の劣化、さらには電気系統への漏電による火災リスクなど、二次被害を招きかねません。
この記事では、一般住宅における漏水の現状と、漏水被害を防ぐための対策について詳しく解説していきます。
快適な暮らしを守るために、正しい漏水対策と、その対処法について知っておきましょう。
目次
漏水が起きる主な原因
1.老朽化
一般住宅の漏水原因で最も多いのが、老朽化によるものです。
住宅は経年劣化によって、屋根や外壁、水回りの配管などが劣化し、そこから水が漏れてしまうことがあります。
老朽化が原因で発生する、漏水のパターンとして以下のようなものが挙げられます。
- 屋根の老朽化: 瓦のズレや破損、防水層の劣化などが原因で雨漏りが発生します。
- 外壁の老朽化: ひび割れや塗装の剥がれなどが原因で雨水が染み込み、漏水が発生します。
- 水回りの配管の老朽化: 接続部分の緩みや腐食などが原因で水漏れが発生します。
屋根や外壁の老朽化に関しては、雨天時などに発覚するケースがほとんどのため、発見も比較的に早い場合が多いといえます。
しかし、水回りの配管などが老朽化によって破損している場合は、床下に水が溜まっていても気付かないケースが非常に多く、中には数年もの間、漏水していることに気付かなかったというケースもあります。
2.施工不良
住宅の施工不良も、漏水原因の一つです。
特に、水回りの施工不良は、漏水の発生リスクを高めます。
- 防水工事の不備: 排水管や浴槽周りの防水工事などが不十分だと、水漏れが発生しやすくなります。
- 配管の接続不良: 配管の接続部分がきちんとされていないと、そこから水が漏れてしまうことがあります。
- シーリングの劣化: 浴槽や洗面台の周りのシーリングが劣化すると、そこから水が漏れてしまうことがあります。
施工不良が原因の漏水に関するお問い合わせも、少なくないのが現状です。
実際に、浴槽周りの配管の施工不良が多く報告されており、このようなケースの場合、皮脂汚れや髪の毛など、悪臭やカビの餌となり得る物質が床下に漏れ出してしまう可能性があります。
3.自然災害
台風や豪雨などの自然災害も、漏水原因となります。
強風によって雨水が吹き込んだり、豪雨によって排水管が逆流したりすることがあります。
- 強風による雨漏り: 瓦の飛散や屋根の破損などが原因で、雨漏りが発生します。
- 豪雨による排水管の逆流: 下水道の排水管が容量オーバーになると、排水水が逆流して漏水が発生します。
4. その他
上記以外にも、以下のような原因で漏水が発生することがあります。
- 凍結による破損: 冬場に水道管が凍結すると破損し、水漏れが発生することがあります。
- 加圧: 洗濯機やホースなどの加圧機器のホースが破損すると、水漏れが発生することがあります。
- 人為的な破損: 壁に穴を開けたり、蛇口を閉め忘れたりすることが原因で漏水が発生することがあります。
漏水は、建物の構造や設備を損傷させたり、カビやダニの発生原因になったりするなど、様々な問題を引き起こす可能性があります。
漏水の初期症状を発見したら、すぐに専門業者に相談して、適切な処置を 受けることが重要です。
漏水が起こりやすい場所
1.水回り周辺
・蛇口の先の吐水口
・ハンドルやレバーの根元
・水栓の根元
・シンクや洗面ボウル下の給水・給湯ホース、止水栓
・シンクや洗面ボウル下の排水管
水栓には常に水圧がかかっていて、ひどい場合は水が噴き出し、止まらなくなることもあります。また、カルキ汚れが付着してハンドルやレバーの動きが悪くなり、しっかり閉まらずに水が漏れているケースもあります。
2.洗濯機周辺
・水栓の壁の接合部
・水栓と給水ホースの接合部
・給水ホース
・洗濯機本体
・排水口につながる排水ホース
排水口がつまり、汚水が洗濯機や排水ホースから漏れ出すのもよくある水トラブルです。
洗濯機は繊維くずやホコリでつまりやすいため、こまめなお手入れが必要になります。
3.屋外の水道設備
・立水栓の根本
・蛇口の先の吐水口
・ハンドルやレバーの根元
・散水栓
・水栓に取り付けられたシャワーホースやシャワーヘッド
屋外の水道設備は屋内よりも目が届かず、漏水に気が付きにくい傾向があります。
冬になると凍結による水道管の破損が起こりやすい場所でもあるため、定期的に確認することが重要です。
3.地下室
・排水ポンプ
・外壁やコンクリートの繋ぎ目
・地下水位上昇
経年劣化などにより、排水ポンプの破損や外壁のひび割れによって、地下室に水が溜まってしまったというケースも少なくありません。
また、経年劣化により、コンクリートが中性化すると結合力が弱まり、そこから水漏れが発生してしまうケースもあります。
3.その他
床下の給排水管の破損などが原因で漏水が発生することがあります。
これらの場所は、普段目につきにくい場所や、水濡れしやすい場所が多いため、漏水に気づきにくいという特徴があります。
そのため、定期的に点検を行うことが重要です。
漏水におけるリスクと対処法
1.カビによる健康被害
漏水によって湿度の高い状態が続くと、カビが発生しやすくなります。
カビは、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、肺炎などの呼吸器疾患を引き起こす原因となるだけでなく、皮膚炎や角膜炎などの皮膚疾患、さらにはガンなどの重篤な病気を引き起こすリスクも高めます。
特に、免疫力の低い小さなお子様や、高齢の方がいらっしゃるご家庭では注意が必要です。
また、カビは一度発生してしまうと、素早いスピードで増殖していくため、もしカビを発見した場合は、一刻も早く対処することが重要です。
対策:
- 漏水箇所を速やかに修理し、湿度の高い状態を解消する。
- カビが発生している箇所は、専門業者に依頼して除去する。
- カビの繁殖を防ぐために、室内の換気を徹底する。
- 除湿機や防カビ剤などを活用して、室内の湿度を低く保つ。
2.ダニによる健康被害
漏水によって湿度の高い状態が続くと、ダニが発生しやすくなります。
ダニは、ダニアレルギーやアトピー性皮膚炎などの原因となるだけでなく、喘息などの呼吸器疾患を引き起こすこともあります。
対策:
- 漏水箇所を速やかに修理し、湿度の高い状態を解消する。
- 寝具やカーペットなどを定期的に洗濯・掃除する。
- ダニ対策用の布団カバーや防ダニ剤などを活用する。
- 室内の湿度を低く保つ。
3.シックハウス症候群
漏水によって壁や床、家具などにカビやダニが発生すると、それらが発する揮発性有機化合物(VOC)が原因で、シックハウス症候群を引き起こす可能性があります。
シックハウス症候群の症状としては、頭痛、めまい、吐き気、倦怠感、皮膚のかゆみなどがあります。
対策:
- 漏水箇所を速やかに修理し、カビやダニの発生を抑制する。
- 室内の換気を徹底する。
- 空気清浄機などを活用する。
4. 構造体への被害
- 木造住宅の場合: 漏水が原因で木材が腐朽し、建物の構造体である柱や梁が弱くなり、最悪の場合、建物の傾きや倒壊につながる可能性があります。
- 鉄筋コンクリート造の場合: 漏水が原因で鉄筋が錆び、コンクリートが剥離する可能性があります。
鉄筋コンクリートは鉄筋とコンクリートが一体となって構造を支えるため、鉄筋が錆びるとコンクリートの強度が低下し、建物の耐震性が低下する可能性があります。
5.設備への被害
- 電気設備: 漏水が原因で電気系統にショートが発生し、火災につながる可能性があります。
- 給排水設備: 漏水が原因でカビや雑菌が発生し、衛生面での問題が生じる可能性があります。
また、漏水が原因で給排水設備の劣化が早くなり、交換が必要になる場合があります。 - 内装: 漏水が原因で壁紙や床材がシミになったり、カビが発生したりして、見た目が悪くなるだけでなく、健康被害につながる可能性があります。
6.その他の被害
- 建物の資産価値の低下: 漏水が原因で建物が劣化すると、建物の資産価値が低下します。
- 修繕費用: 漏水の被害状況によっては、多額の修繕費用が必要になる場合があります。
- 健康被害: 漏水が原因でカビや雑菌が発生すると、アレルギーや呼吸器疾患などの健康被害を引き起こす可能性があります。
困ったときは専門業者にご相談を
もしあなた自身や、あなたの身の回りで「自宅が漏水しているかも!?」といった場面に遭遇した際は、専門業者に相談することを強くおすすめします。
もちろん、相談すること自体は、漏水という事が確定してからしなければならないといったような決まりはありませんし、何より早い段階で対処できれば、被害を最小限で抑えることができます。
よくインターネットなどで、漏水かどうかを自分で確認する方法や、簡単な点検方法が紹介されていることがあります。
確かに、漏水のパターンによっては、自力で確認できる場合もあります。
しかし、それは目に見えて分かるほど、「被害が広がってしまっている状態」であるケースがほとんどです。
また、仮に漏水かどうかといった判断ができても、正確な漏水箇所まで発見することは非常に困難といえるでしょう。
さらに、前文でも述べたように、漏水現場ではさまざまなリスクがつきものです。
自力で点検しようとした結果、「感染症に掛かってしまった」「けがをしてしまった」など、ご自身の身体に害が出てしまっては元も子もありません。
そういった事態に陥ることを防ぐためにも、少しでも不安がある場合には専門業者への相談を検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ
一般住宅における漏水は、建物の構造や設備に深刻なダメージを与えるだけでなく、健康被害やカビ発生などの二次被害を引き起こす可能性もあります。
漏水を早期発見し、適切な修理を行うことが重要です。
この記事では、一般住宅における漏水の代表的な原因、と対処法について紹介しました。
漏水は様々な場所で発生する可能性があるため、日頃から注意深くチェックすることが大切です。
漏水は、誰にとっても避けたいトラブルです。
しかし、適切な知識と対策があれば、漏水の発生リスクを大幅に減らすことができます。
この記事でご紹介させていただいた情報を参考に、日頃から漏水対策を意識し、快適な住環境を守りましょう。それでも漏水が起きてしまった際はご連絡ください!!