「孤独死」と聞くと一般的には高齢者のイメージを持つ方は多いのではないでしょうか?
実は、近年20代の若者が孤独死してしまう事例が増えてきています。
2022年11月に行われた日本少額短期保険協会孤独死対策委員会による第7回孤独死現状レポートによると、孤独死で亡くなってしまった6,727人の内、その5%を20代の若者が占めているという調査結果が出ています。
第7回孤独死現状レポート 日本少額短期保険協会孤独死対策委員会より引用
5%というと少ないように感じる人が多いと思いますが、336人近くの若者が孤独死で亡くなっていることになります。これは決して少ない数ではありません。
何故「高齢者」ではなく、「若者」の孤独死が増えてきているのでしょうか?その原因や特徴、対策について詳しく解説していきましょう。
若者が孤独死する原因
「20代の人がマンションの一室で自殺してしまった」、「臭いがしたので確認したら大学生がベッドで亡くなっていた」というようなご相談をいただくことがあります。
特殊清掃では亡くなった方が生前どういった生活をしていたのか、どうして孤独死してしまったのか、作業を進めていくうちに様々な情報が得られます。
その経験をもとに孤独死してしまう若者に多く共通している原因についてご紹介いたします。
社会的孤立
孤独死は普段から家族や友人とあまり連絡を取らない人に多く起こりやすいと言われます。また、悩みや不安を職場や学校の人に打ち明けずに独りで抱え込んでしまう人も孤独死しやすい傾向があります。
例えば、人付き合いが苦手で近隣の住民と関りを持とうとしない人も異常に気付いてもらえず、そのまま亡くなってしまい、数週間、数か月後に臭いや害虫により発見される…というケースが多くあります。今の若者世代は生まれたころからインターネットが復旧しており実社会での人との関わりはそこまで重視していないのではないでしょうか。
こういった要因によって「社会的に孤立」してしまう事が若者が孤独死してしまう大きな原因であると言えるでしょう。
経済的な困窮、便利な世の中
孤独死が発生する原因の一つに「経済的な困窮」が関わっているケースも多く見られます。
就職活動が上手くいかず、安定した収入を得られない若者も多く見られます。
収入が少なく、健康的な食事をとることが困難になり、体調を崩したり病気になってしまうケースも少なくありません。
また、コンビニや24時間営業の安くて早い飲食店も多くあり一人暮らしには便利な世の中となっています。皆さんもご存じの通り安くおなかは満たされますが、どうしても偏った食生活になってしまうものです。
経済的な困窮に話を戻すと例えば、家賃や光熱費、奨学金などの支払いに追われることで生活水準を大きく低下させてしまい、体調悪化により最終的に孤独死してしまう。といったケースもよく起こっています。
こうした「経済的な困窮」が若者の孤独死に大きく関わっています。
精神的なストレス
孤独死の原因として「社会的孤立」「経済的な困窮」の2つをあげましたが、この2つによって引き起こされる「精神的なストレス」も孤独死の原因として大きく関わっています。
例えば、日常的に人とコミュニケーションをとらず、社会的に孤立してしまう事で貧困により生活が苦しくなっても誰かに相談することができない…こうして精神的に追い詰められてしまい自殺してしまう。こういった若者が増えてきています。
実際に20代の若者の自殺現場では光熱費などの請求書が大量に見つかるという事もあります。
普段元気な若者でも発生する可能性がある孤独死
実は昨日まで学校や職場で元気に過ごしていたのに孤独死してしまった。といったケースもあります。
自宅にいる間に急に病気で倒れてしまい、特に孤立しているわけでもないのに、そのまま発見が遅れて亡くなってしまうことがあります。
これは若者ならではの原因になりますが、学校や職場の出席・出勤の時間に当人が来なくても「若い人だし、そういう日もあるか」と状況確認が後回しにされてしまい、気付いた時には亡くなってから時間が経っていた。といったケースが起こることがあります。
突然病気によって倒れてしまうことは若い人でも起こり得る可能性があるので、少しでも違和感を感じた際に連絡してくれる人が周囲にいることが重要であると言えます。
孤独死しやすい若者の特徴
様々な原因により起こってしまう若者の孤独死ですが、実は孤独死しやすい若者には共通する特徴があります。一人暮らしをしていたり、人と関係を持つことが苦手だったりと、共通する特徴にも様々な物があります。
ここからは孤独死しやすい若者の特徴について解説していきましょう。
一人暮らしをしている人
孤独死の現場では、「セルフネグレクト(※生活環境や衛生環境が著しく低下しているにも関わらず、周囲の人に助けを求めない状態)」の痕跡が見られるケースがあります。
例えば、現場でコンビニ弁当やカップ麺などのゴミでパンパンになった袋が大量に見つかったり、キッチンやお風呂場、トイレなどの生活に欠かせない場所が空になったペットボトルで埋まっていたりと、どうやって普段生活していたのか疑問に感じてしまうような現場が多く見られます。
自分で気付きにくいのもセルフネグレクトの症状の一つで、特に一人暮らしをしていて他人を部屋に入れる機会がない人だと部屋の衛生環境が悪化しているのに気付けず、周囲の人が認知するころには部屋いっぱいにゴミ袋が重なっている…ということも多くあります。
誰かと住んでいたり、家族や友達などの来客が多いと異常に気付いてもらえますが、一人暮らしをしていると異常に気付いてもらえず、生活環境や衛生環境が悪化し、体調に影響が出てしまいそのまま病死してしまうという事が発生してしまいます。
自炊をしない人
孤独死の現場ではコンビニの袋やペットボトルが大量に積みあがっていたり、床に広がっていて足元が見えない状態であることが多く見られます。
そういったお部屋のキッチンを確認すると調理した形跡がなかったり、そもそも大量のゴミでキッチンが埋まってしまっていることが多く、自炊をしばらくの間していなかったと印象を受けることが多いです。
セルフネグレクト状態になったことにより食生活への関心が薄れてコンビニ食しか食べなくなった。
また、仕事や学業が忙しくて自炊に時間を割くことができなくなり、コンビニ食が中心になった。
コンビニ弁当のゴミが溜まってしまう経緯はいくつか考えられますが、孤独死してしまう若者の多くのお部屋には、自炊をせずにコンビニ食中心の生活をしていた痕跡が残っていることが多いという事実があります。
人との関りが少ない人人との関りが少ない人
人付き合いが苦手で回りに友達や知人がいない人も孤独死しやすい人の特徴の一つです。
周囲の人や近隣住民の方とコミュニケーションをとらないことで、異常が起きた際にすぐに発見してもらえず、そのまま病死してしますケースが多いです。
学校や職場の人なら普段人と関わることが苦手な人でも出席・出勤状況で気付いてもらえる可能性がありますが、「若いからこういう時もある」と、流されてしまうと確認が遅れてしまい、気付いた時には亡くなってから一週間も経っていた。というケースも少なくありません。
生真面目・プライドが高い人
生真面目・プライドが高い人にも孤独死が起きることがあります。
経済的な困窮により生活水準が著しく低下してもその現状を誰かに知られる事が恥ずかしかったり怖かったりして相談できず、そのまま体調不良で亡くなってしまう事もあります。
親や友人、職場の人と交流がある人でも迷惑をかけたくない、知られたくないといった気持ちが勝り、周りの人が気付くころにはボロボロになってしまっている…というケースも多く見られます。
趣味がない人
趣味がない人も孤独死しやすい人の特徴の一つです。楽しめる趣味があれば自分でストレス発散したり気持ちをリフレッシュする事ができますが、趣味がないとストレスが溜まる一方です。
また、趣味があればそれをきっかけに人と関わったりすることが多いですが、趣味がない人の場合はそういったきっかけがなく、生活する中で人と交流する機会が大きく減ってしまいます。
周囲の人と話す際に話題がなく、自然と会話する機会が減ってしまうことでいつの間にか孤立してしまい、そうして孤独死に繋がってしまう。こうしたケースも多く見られます。
外出をしない人
趣味がなくて外出しない、また、趣味があってもネット通販を利用して買い物に行かないなど、外出をする機会が減ってしまい引きこもりがちな生活をしている人も、孤独死しやすい人の特徴になります。
外出をして太陽の光を浴びると、セロトニンという「幸せホルモン」と呼ばれる物質が分泌されます。
このセロトニンには、ストレスの軽減や食欲のコントロール、脳が活性化するなど、様々な効果があるので、外出をすることは生活していくうえで非常に大切なことです。
家に引きこもってしまうとセロトニンの分泌量が少なくなり、ストレスが溜まったり、生活習慣の悪化に繋がってしまいます。実際に孤独死が発生した現場では、カーテンが閉まったまま埃を被っていることがあります。
非正規雇用・過重労働の環境にいる人
普段から過重労働の環境にいる人も孤独死しやすい人の特徴の一つです。
一日の時間の大半を仕事に充てていると自分自身の体調管理や衛生管理が疎かになってしまい気付いた時には過労で倒れてしまい、そのまま亡くなってしまうケースも多く見られます。
また、非正規雇用の環境にいる人も孤独死しやすい人の特徴に含まれます。
非正規雇用の人は正社員と比べて収入が少ない場合が多く、生活をするために限界を超えてると理解していながらも働き続けてしまい、過労になってしまう…こうして体を壊して自宅で倒れてしまい亡くなってしまうケースもあります。
若者の孤独死を防ぐための対策
様々な原因で起こってしまう若者の孤独死…一体どうすれば未然に防ぐことができるのでしょうか。
本人が認識し、理解することも重要ですが、それ以上に周囲の人が孤独死について理解することも重要です。ここからは若者の孤独死を防ぐための対策について解説していきましょう。
積極的にコミュニケーションをとる
普段から学校や職場の人と軽い挨拶だけでもいいのでコミュニケーションをとることで、異常が起きた際に発見してもらえる可能性が大きくなります。
また、現在SNSツールの発達により、LINEやX、インスタグラムなどを用いて会話ができるので、若者のコミュニケーション不足に対して最も有効な対策になるでしょう。
例えば、こまめにLINEでスタンプを送るなどの簡単な連絡をするだけでも孤独死を避ける大きな要因になります。
部屋を綺麗にする
部屋がゴミや荷物で散らかっていたり、使った食器をしばらくの間洗わずにキッチンに溜めておいたりすると室内に悪臭が充満してしまったり、コバエなどの害虫が湧いてしまい、衛生的にも精神的にもどんどん悪化していきます。
部屋を定期的に掃除する事でストレス解消や気分をリフレッシュする事ができ、孤独死の原因の一つにある精神的なストレスを大きく緩和する事ができます。また、掃除の際に出たゴミを捨てに行く際に近隣住民の方と顔を合わせることで、コミュニケーションをとれる可能性があるのも大きいです。
健康診断を受ける
現在学校や職場で毎年行われる健康診断ですが、孤独死を防ぐのに大変有効な手段と言えます。
健康診断を受けることで自分の体に起こっている異常を早く発見でき、自宅で突然病気で倒れてしまう可能性を大きく下げることができます。
また、健康診断を通して医師が体の異常に気付いてくれるので、その時点での最適な対処・治療法をしっかりと認識することができます。
心療内科を受診する
孤独死に深く関係している精神的なストレスによる体調不良ですが、心療内科を受診することで孤独死になってしまう危険性を大きく下げることができます。
心療内科では受診時にカウンセリングで医師と会話する時間が設けられているので、学校や職場、家族や友人に話すことができない不安や悩みを話すことにより精神的なストレスを緩和する事ができます。
心を閉ざしてしまっている人でも真摯に対応してくれるので、周囲の人では改善できない悩みでも良い方向に運んでくれる可能性があります。また、電話でのカウンセリングも対応している心療内科もあるので、病院に行きづらい人でも気軽に利用できるのが大きな利点と言えます。
セルフネグレクトの症状があったり、心に大きなダメージを負ってしまっている人は一度、心療内科でのカウンセリングを受診することを強く推奨します。
家族や周囲の人がこまめにコンタクトをとる
一人暮らしを始めたばかりの人は期待と不安でいっぱいです。
引っ越す前は友達も多くて元気だったのにいざ引っ越して一人になってしまうと新しい環境でうまく馴染めなかったり、友達ができなかったりすると焦りや不安で押しつぶされ、セルフネグレクトなどの心の病に陥ってしまう可能性があります。
遠方に引っ越してしまい直接会って会話することが難しくても、こまめに電話やSNSツールで会話したりお互いの状況を共有することで孤独死のリスクを大きく下げることができます。
ご家族の方や周囲の人がケアをしてあげることで孤独死を未然に防ぐことができるので、積極的にコンタクトをとるようにしましょう。
まとめ
若者が孤独死してしまう原因や孤独死しやすい人の特徴、その対策について解説しました。
「高齢者に多い孤独死」とイメージされる人が多いですが、実際に若者の孤独死が発生し、ご遺族様や大家様からご相談をいただくことが増えてきています。
そして、一番最初に孤独死全体の5%を若者が占めているとお話ししましたが、その死因の26.3%が自殺による孤独死となっています。(第7回孤独死現状レポートより)
その原因や対策を周囲の人がしっかりと認識し、定期的にコンタクトを取り続けることで若者の孤独死を未然に防ぐことができる可能性が大きく高まるでしょう。
若者の孤独死の対策ですでに触れましたが、20代の若者の孤独死を防ぐ有効な手段としてXやLINE等のSNSツールの利用があげられます。どこでも気軽に電話や文章で会話ができるので、コミュニケーションが苦手な人でも不安や悩みを打ち明けられる可能性があるので、積極的に活用していきましょう。
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