「孤独死」が発生してしまう原因は、職場・家庭・社会的「孤立」が大きく関係しています。
例えば、「職場」での人間関係が上手くいかず孤立してしまい、ストレスを感じやすくなってしまう。そのストレスを「家庭」に持ち込んで、妻や子供にぶつけてしまう。このことが原因で家族と疎遠になってしまい、「社会」的に孤立してしまう。
このように、「職場」→「家庭」→「社会」の順番で孤独化に連鎖的に繋がっていく場合が多いです。もちろん「家庭」で感じるイライラ感を「職場」に持ち込んでしまい、結果的に「社会」的に孤立してしまうケースも考えられるでしょう。
前回の記事では「職場」での孤立にフォーカスを当てて解説しました。今回は「家庭」での孤立とは具体的にどのような原因や特徴があるのか、前回の職場での孤立を交えながら詳しく解説していきます。
家庭で孤立しているなと感じる時
「家庭」での孤立について解説していくんですが、実際家庭内のどのような場面で孤立感を感じてしまうのでしょうか。以下のようなものが考えられます。
- 無視される
- 意見が合わない
- 褒めてもらえない
- 家族から攻撃的な言葉を浴びる
- 単独で食事
- 家族の会話から除外される
- 家族からの信頼がない
- 家族の期待に応えられない
- 家族と共通する趣味がない
- 家族内での争い
- 家族に対する劣等感
- 家族からのサポートがない
無視される
家族があなたの存在を無視した時に孤立感を感じるでしょう。家族仲が良くても話しかけた時に忙しくて相手にされなかった際にも同じことが言えるでしょう。自分だけがまるでそこにいないかのようにされてしまっては悲しいものです。
意見が合わない
家族との意見が合わない時、孤立感を感じることがあります。意見の食い違いが多いと、家族間のコミュニケーションの希薄化に繋がる可能性もあります。
褒めてもらえない
あなたの努力を家族が褒めてくれない時、孤立感を感じてしまいます。あなたが頑張って努力しても家族がそれを認めてくれない時に孤立していると感じてしまいます。
家族から攻撃的な言葉を浴びる
家族から攻撃的な言葉を浴びせかけられた際に孤立感が生じます。家族から罵声や高圧的な言葉を言われることで、心に孤立感が現れてしまいます。
単独で食事
家族と一緒に食事をする機会が少ない場合、孤立感を感じてしまう場合があります。一人で食事をすることで孤立していると感じてしまうのです。
家族の会話から除外される
家族が会話をしている際に外されることで孤立感を感じることがあります。あなたには関係ないと遠回しに言われているように感じてしまうのですね。
家族からの信頼がない
家族との信頼関係が希薄である場合、孤立感が生じます。信頼関係が希薄なせいで家族から何も頼まれないと感じた時、孤立を感じます。
家族の期待に応えられない
家族の期待に応えられない場合、孤立感を感じてしまうことがあります。期待に応えられなかった時、家族から辛辣な言葉や態度を取られた時、疎外感を感じてしまうでしょう。
家族と共通する趣味がない
家族と共通する趣味がない場合、孤立感を感じることがあります。共通する趣味がないことで家族の会話や外出から外されてしまった時に孤立していると感じてしまいます。
家族内での争い
家族内での争いや不和が続いている場合、孤立感が増加します。本来味方であるはずの家族と口論になったりすると、味方がいなくなったと感じてしまい、孤立感に繋がります。
家族に対する劣等感
家族が自分よりも優れていると感じる場合、同時に孤立感を感じる場合があります。兄弟や親が自分より優れていると感じることで、劣等感を抱いてしまうのです。
家族からのサポートがない
あなたが悩んだり困難な状況になった時、家族からのサポートを受けられない時に孤立感を感じてしまいます。悩み事があっても家族が協力してくれない場合に孤立していると感じます。
家庭で孤立してしまう原因
家庭内で孤立感を感じてしまう場面では、「あなた」ではなく、どちらかというと「周りの環境」が影響していることが多かったですね。
では、家庭で孤立してしまう「原因」に着目した時はどうでしょうか?
この場合、「あなた」自身の性格や態度が影響している場合が多いです。原因になり得るものとして以下のようなものが挙げられます。
- 仕事が最優先
- 妻に家事をまかせっきり
- 一緒に食事を摂らない
- 感謝の言葉をかけない
- 家族に対して高圧的な態度をとる
仕事が最優先
家庭よりも自分の仕事が最優先と感じている男性は、家庭で孤立しやすいとされています。
例えば、一日のほとんどを仕事に費やしている男性は、家族と接する時間がほとんど取れないことになります。家族とコミュニケーションを取る機会が減る…つまり家族との距離が縮まることはありません。むしろ距離が大きく開いてしまう可能性もあります。
このように家族との時間を疎かにしてまで仕事を最優先にしている人は、家庭での居場所がなくなってしまい、いざ年齢によって退職し、「職場」という居場所がなくなった時、「家庭」での居場所がなかったらどこにも居場所がなくなってしまうでしょう。
定年退職というものがある通り、人はいつまでも働き続けることはできません。自分は仕事があるから家庭で居場所がなくなっても大丈夫と思っていても、いつか仕事はできなくなってしまいます。
家庭での居場所が大切なのはこのように仕事がなくなった際に居場所といえる場所がなくならないようにするためでもあるのです。
また、妻と心の距離が大きく開いてしまうと離婚に繋がってしまう場合があり、より一層孤独へ突き進んでしまう可能性があります。
こちらは美学倶楽部が調査した「既婚女性の離婚を考えた理由と離婚経験女性の離婚した理由」をデータ化したものです。このデータを見てみると離婚した理由のおよそ10%が「家庭を顧みない」と回答しているのが分かります。離婚を考えた理由としても6%ほどの数値が確認できます。
以上のことから、家庭よりも仕事を優先して行動してしまう男性は家庭内で孤立しやすく、さらに離婚の原因にもなる可能性があるのです。
妻に家事をまかせっきり
妻に日ごろの家事をまかせっきりにしている男性も家庭内で孤立しやすいでしょう。
こちらは「あなたが行っている家事や育児は」という質問に対しての回答を男女別にまとめたものです。女性の家事分担率が非常に高いのが分かります。ゴミ出しだけは男性の方が高いですが、これは出勤時に奥さんからついでに捨てといてと頼まれたからでしょう(笑)
家事育児の負担感に男女差 共働き女性の9割が「自分の時間」後回し – 産経ニュース (sankei.com)
このデータから分かる通り、日ごろから家事を妻にまかせっきりにしている男性は多くいるのです。仕事が忙しくて帰りが遅いからどうしても妻に家事をまかせっきりにしてしまう男性も多いでしょう。さらに、日ごろから家事をしていないせいで、妻に家庭内のことを任せることが癖になってしまい、仕事がお休みの日でも進んで家事をしてくれる男性は多くないと思われます。
こうして家庭内でのことを妻に任せきりにしてしまうことで、妻からの評価がグングン下がっていき、夫婦仲が悪化してしまう恐れがあります。
一緒に食事を摂らない
家族と一緒に食事を摂らない男性も孤立しやすと言えるでしょう。
下記のデータをご覧ください。こちらは農林水産省による食育に関する意識調査報告書から引用したものです。「家族と一緒に食べることはどのくらいありますか」という質問に対して2,042人のうち、ほとんどないと答えた人は「朝食」で26.1%、「夕食」では5.2%もの人が家族と食事を摂っていないと答えています。
家族との食事は近況報告も兼ねた大切なコミュニケーションの時間です。毎日外食や、家族と離れて自分の部屋で食べていたりすると家族との交流が希薄化してしまう恐れがあります。
感謝の言葉をかけない
普段から家事をしてくれたり、身の回りのお世話をしてくれる妻に感謝の言葉をかけない男性は少なくありません。感謝もされないのに何でこの人の分まで家事してるんだろう、世話してるんだろう…と妻は感じてしまいます。
例えば、朝昼晩…お昼はお弁当を作ってくれるとしましょう。毎日ご飯を用意してくれる妻にありがとうと言葉をかけないとどう思われるでしょうか?妻の立場になって考えてみると、とても気持ちのいいものではありませんよね。
こういう人だからしょうがないと割り切ってずっと気遣い続けていては疲れてしまいます。あなたと一緒にいても疲れるだけと思われて距離を置かれてしまうかもしれません。つまり、将来的に単独世帯になってしまう可能性が高まり、比例して孤独死率も上昇してしまうでしょう。
家族に対して高圧的な態度をとる
家族に対して高圧的な態度をとってしまう男性も孤立化しやすいでしょう。
こちらは弁護士法人デイライト法律事務所の熟年離婚の原因ランキングにて紹介されていた「離婚の有ランキング」より引用したものです。
このデータは「女性の離婚したい理由」についてまとめられたものですが、見てみると1位に「精神的虐待」とあります。結婚相手に対して高圧的な態度、または攻撃的な言葉を投げかけている男性はこの「精神的虐待」に大きく関係してくるでしょう。
熟年離婚の原因ランキングを弁護士が解説【2024年最新版】 | 離婚の相談はデイライト法律事務所 (daylight-law.jp)
例えば、自分は家族のために働いていて一番稼いでいる、だから家庭内では一番偉い。という気持ちを持っている男性は家族に対して高圧的な態度を取りがちです。もし自分にとって都合の悪いことが起きた場合、怒りで家族に強い言葉を投げかけてしまうかもしれません。
当然、このようなことが日常的に起きていたら、家族との距離が大きく開いてしまいます。また、定年退職をして仕事がなくなった時に、どこにも居場所がなくなってしまう恐れもあります。
家族からは距離を置かれ、仕事もない。そんな状況に陥ってしまった場合、孤独感に襲われてしまうのは避けられないでしょう。
家庭での孤独感を解消するには?
家庭内で孤独を感じながら毎日を過ごすのはとても辛く、心が疲れてしまうでしょう。ですが、生活を変えなければ孤独感は解消されません。家庭内で笑顔で過ごせるようになるには、感じてしまう孤独感としっかり向き合う必要があります。
以下に解消法として考えられるものをいくつかピックアップしてみました。もしかしたらほんの少しの勇気で孤独感を解消することができるかもしれません。
できる限りでいいから家庭での時間を作る
仕事を最優先に考えて行動してしまう男性は孤立化しやすいとお話ししました。仕事を最優先にしてきたことで家庭での居場所がなく、いざ退職した時に居場所がなくなってしまうためです。
なのでまず考えられる対策として、「できる限りでいいから家庭での時間を作る」ことを目標にしてみましょう。家庭での居場所をしっかり築いておくことで、将来仕事を退職した際の孤立化を防ぐことができます。
もちろん仕事が忙しかったり、勤務時間が家族と合わない男性も沢山いるでしょう。ですが、それを理由に家庭での時間を疎かにしてしまうと、どうしても家族との距離は開いていってしまうでしょう。
そんな時はこまめに電話で会話したり、SNSを利用して簡単なコミュニケーションを取るのがオススメです。一日少しでもいいので家族との交流を図りましょう。
家事に対して積極的に動く
先ほど男性の家事関連の時間が女性に対してとても少ないお話をしました。
全く家事をしない男性ってどうなの?とアンケートを取っていたバラエティ番組を見たことがありませんか?結果は当然家事をしてくれる男性の方が好印象な物がほとんどでしょう。
家事を任せきりの男性は家族から悪い印象を持たれることが多いです。見限られて距離を置かれてしまう可能性も出てくるでしょう。できる限りでいいので、家事をする努力をしてみましょう。
例えば、定時になったら早めに帰って簡単な掃除をしたり、使った食器を洗ったり、洗濯物を洗ったり…と思いつく家事はたくさんあります。もちろん仕事の都合上、家族と中々時間が合わない男性もいます。その時は自分ができる家事は何かあるか家族と相談しておきましょう。
家族と食事を一緒に摂る
家族と食事を一緒に摂ることも大切です。毎食はもちろん難しいので、朝昼晩のどれか一つでも一緒に過ごせるように意識しましょう。日常で起きたことや仕事のことなど、家族間で起きたことを共有するのに良い機会にもなるでしょう。
また、一人で食事をすると孤独感を感じてしまう場合があるので、時間が合う時は家族で集まって食事を摂れるようにしましょう。
感謝の言葉を伝える
家事をしてもらった時にしっかり感謝の言葉をかけましょう。
掃除をしてくれた、ご飯を作ってくれた、洗濯物を干してくれた、買い物に行ってくれた、何でもいいです。家族のために動いてくれた奥さんに「ありがとう」と一声かけてあげましょう。
人から感謝されて嫌な気分になる人はいません。ましてや大切な人からの感謝の言葉はとても嬉しく思われることでしょう。日々のコミュニケーションの一つにもなるので、積極的に感謝の言葉を伝えましょう。
まとめ
今回の記事では、家庭で孤立しがちな男性について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
仕事ばかりの生活で家族との関係が希薄化してしまうと、いざ定年退職した際に「職場」「家庭」のダブルで居場所を失ってしまいます。いざ自分の居場所がなくなってしまうと、孤独感がぐっと上昇してしまうでしょう。また、夫婦関係の悪化により離婚してしまうと単独世帯になってしまい、将来的に孤独死率が上昇してしまいます。
家庭での居場所を作ることは非常に大切です。家族と会話をする、一緒に食事を摂る、家事を手伝う、感謝の言葉を伝えるなど、簡単なことで対策できます。できる限りでいいので、家族とのコミュニケーションを取るように行動しましょう。