生活保護を受けられている方の中にも、室内が物やゴミであふれかえってしまった所謂“ごみ屋敷”の中で暮らしている方がいます。室内がごみ屋敷になっている理由は一概には言えず、体力の衰えからごみを出しに行けない、ごみの分別が細かくなったことに対応できない、初期の認知症でゴミの判断がつかないなどまちまちです。
室内の片づけなので本来は入居者ご自身が自力で片付けることが望ましいですが、場合によっては補助を受けられる可能性もあるようです。
先日行ったとある生活保護受給者のごみ屋敷の清掃は、補助を使用したものだったこともあり、同じように悩まれている方のために適切な形でゴミ屋敷を整理できるよう、今回の維持で詳しく解説していきます。
目次
ゴミ屋敷の片付けで自治体の補助を受けられる条件とは?
生活保護受給者がごみ屋敷となってしまった自宅の清掃を行うにあたり自力ではどうしてもできない・・なんてこともあるかと思います。生活保護の受給者は基本的に、病気やけがなど何らかの理由で働けないはずなので、自力での片付けは難しいと言えます。
しかしゴミ屋敷の片付けを業者に頼もうにも、まとまった費用を用意するのも難しいこともあるでしょう。その場合自治体から片づけをしたい受給者にごみ片づけのための費用が出る可能性があります。 補助金のため申請をすれば誰でももらえるわけではないため注意が必要です。 補助金を受けるための要件は以下の4点になります。
ゴミ屋敷の片付け費用を支給してもらえるのは原則、以下4つの条件を全て満たしている人のみです。
- 借家などに住んでいること
- 単身であること
- 病院、介護施設、福祉施設、職業能力開発校のいずれかに入院、または入所していること
- 入院や入所の期間が6ヶ月を超えている、または6ヶ月を超える見込みであること
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
単身で借家に居住していること
単身で借家に居住している場合であれば、支給対象として該当します。
借家は「原状回復義務」があるため、貸主に返却する際(退去するとき)に室内の家財道具を全て片付けなければなりません。また、単身者の場合は他に居住スペースの維持管理を行える人がいないと判断されるため生活保護の受給者には、自治体から「家財処分料」が支給されます。
単身世帯でなくても、ゴミ屋敷の片付け費用が支給されるケースもある
ゴミ屋敷の片付け費用を自治体に支給してもらうには、先ほど挙げた4つの条件を全て満たしている必要があると説明しましたが、これには一部例外もあります。家財処分料は原則、単身者にしか支給されませんが、場合によっては複数人の世帯でも支給してもらえることがあるのです。
例えば夫婦で暮らしていて、2人とも入院か入所をして6ヶ月以上自宅に戻れる見込みがない場合は、家財処分料が支給されます。また母子家庭で、母が6ヶ月以上の入院をして、子どもが児童保護施設に入所したような場合でも、家財処分料は支給されます。
施設への入院・入所が6か月を超えること
ここで対象となる「施設」とは、病院や介護・福祉施設はもちろん、職業訓練校などの就業支援施設も当てはまります。病気や就職のために室内を片付ける必要がある場合には相談してみるといいでしょう。
施設への入院・入所に伴い借家を退去する
上述のように、入院・入所期間が6か月を超えると、住宅扶助の対象から外れてしまいます。そのため、居住している賃貸物件からの退去が必要となり、その際に発生する家財の処分費用が支給されます。
また、入院・入所から1年間であれば「家財保管料」の支給を受けることができます。退所後、新たに入居して使用する予定の家財を一時的に預けておくことができる仕組みです。ただし、自治体によってこの制度が使えない場合もあるので確認をしておきましょう。
上述の項目に加え、退去時に返還される敷金等で賄えないケースに限り、一時扶助としての支給が認められます。
片づけ費用の補助が受けられるケース/受けられないケースとは?
一時扶助として、ゴミ屋敷の片付け費用を補助してもらえるケースと補助が受けられないケースがあります。 ここまでの記事をお読みいただき気になる方も多いのではないでしょうか。それでは、補助が受けられるケースと受けられないケースの違いについてご紹介します。
・補助が受けられるのは「住宅扶助」が受けられなくなるとき
「住宅扶助(じゅうたくふじょ)」とは家賃補助の制度のことです。
ゴミ屋敷の片付けに伴う費用の補助を受けられるのは「住宅扶助」の対象から外れるケースに限ります。
退所後に再び使用するケースに関しては、家財保管料の補助を受けましょう。保管できず、やむを得ず処分する場合であれば、家財処分費用として補助を受けることが可能です。ただし保管しておかなかった場合は次回入居時に家財道具をそろえる必要があります。
基本的に単身世帯以外は受けられない
基本的に夫婦や親子で生活しているようなケースでは、ゴミ屋敷の片付けにかかる費用の補助は受けられません。このケースの場合、退去が伴わないため自力で片付けを行う必要があります。
ただし、例外として複数世帯でも補助を受けられるケースがあります。たとえば、夫婦共に施設へ入所する場合や、母子家庭で母親の長期入院に伴って子供が児童養護施設に預けられるようなケースです。このような場合であれば、6か月以上の入院・入所として住宅扶助の対象から外れるため、処分費用が支給されます。
自治体によっては例外的に支給される場合も
基本的に生活保護受給者が居住している場所の片付け費用は、退去を伴うものでなければ助成されません。一方で、自治体によっては例外として「住環境の改善」を目的に支給を行っているところもあります。
支給されるケースとしては、居住者が認知症などを理由に自力で片付けを行うことが困難な状況や、衛生面で健康面に問題が発生するような状況などが挙げられます。
これらの判断基準は、ケースワーカーや自治体によって異なるため、詳しくは担当のケースワーカーや自治体に問い合わせる必要があります。
生活保護受給者の遺品整理では受けられない
生活保護の受給者が亡くなった場合、遺品整理としてゴミ屋敷の片付けを行うケースもあります。
ただし、亡くなった後に関しては片付け費用の助成は受けられません。
亡くなった時点で生活保護の支給が打ち切りになるため、自治体のサポートを受けられなくなります。
この場合、片付けにかかる費用を負担するのは、親族もしくは連帯保証人や物件のオーナー(大家)です。親族の場合、相続放棄を行っている連帯保証人が亡くなっているようなケースでは、オーナーの負担となる場合もあります。
生活保護受給者がゴミ屋敷の片付け費用を支給してもらう方法
先ほど挙げた4つの条件を満たしていた場合、手続きをすることで、ゴミ屋敷の片付け費用が自治体から支給されます。
ここでは、ゴミ屋敷の片付け費用を自治体に支給してもらうための手続きの方法について説明していきましょう。
①家財処分の申請書類を提出する
ゴミ屋敷の片付け費用を支給してもらうためには、家財処分のための申請書類を提出します。申請書類は市役所の福祉担当窓口または福祉事務所にありますが、病院や施設に入院、または入所している場合は取りに行くことが困難なはず。
その場合は、親族か担当のケースワーカーに頼んで届けてもらい書類に必要事項を記載したうえで、かわりに提出してもらうといった方法があるでしょう。
②ゴミ屋敷の片付け業者で見積りをとる
生活保護の受給者がゴミ屋敷の片付け費用を支給してもらうには、一般廃棄物収集運搬業許可業者からごみ屋敷清掃を行っている会社に見積りをとらなければなりません。家財処分に対応しているか、幅広い処分品に対応可能かなどを確認し、業者の選定を行いましょう。
依頼する業者をどこにするかについては、受給者が選択できます。
ただし受給者が選んだ業者のうち、最終的にどこに頼むかを決めるのは自治体です。
正確な見積額を出すには、業者に自宅まで来てもらい、ゴミ屋敷の状態を確認してもらわなければなりません。
入院や入所中の場合、自宅に行くことはできないでしょうから、この場合も親族か担当のケースワーカーに見積りの際の立会いをお願いするようにしましょう。また、自治体によっては、業者の選定・見積もりの依頼をケースワーカーが行っているところもあります。自治体によって対応範囲が異なるため、家財処分の助成を受ける際には、まずケースワーカーに相談しましょう。
今回の記事のまとめ
ゴミ屋敷の片付けで自治体の補助を受けるには、単身で借家に居住している、入院・入所が6ヶ月を超える、入院・入居に伴い借家を退去することが条件です。
業者に見積もりを依頼する、補助を受けるための申請書類の作成・提出といったことも、自治体によってはケースワーカーが行ってくれます。
家財処分料を支給してもらえる条件を満たしているにしろ、そうでないにしろ、ゴミ屋敷の片付け費用が支給されないか、まずは担当のケースワーカーさんに相談してみるといいでしょう。
Sweepersでは生活保護受給者の方の家財整理や処分のご依頼やお見積もりも承っております。
ケースワーカー様や社会福祉協議会様からのご相談もお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。