
近年、よく耳にする孤独死という言葉。
孤独死にはさまざまな要因があると考えられていますが、その中でも「セルフネグレクト」は、孤独死につながる深刻な問題とされています。
「孤独死は高齢者の話でしょ。」と思っている方はいませんか?
実は年々、若者の孤独死も増加傾向にあり、学生から高齢者まで幅ひろい年齢層の方に起こり得るのが現状です。
確かに、若者の孤独死と高齢者の孤独死では考えられる要因も多少異なりはしますが、セルフネグレクトに関していえば、そのどちらにも当てはまる可能性があるということがいえるでしょう。
しかし、早期発見と適切な支援によって、その問題を改善することが可能です。
この記事では、セルフネグレクトのサインと孤独死を防ぐための対策について解説します。自分自身や周囲の人を守るために、ぜひ参考にしてください。
目次
セルフネグレクトとは何なのか?
セルフネグレクトとは、自分自身を大切にすることができず、食事や衣服、住環境など生活の基本的なニーズを満たせない状態を指します。具体的には、以下のような状態が含まれます。
食事:極端な偏食、不規則な食事、栄養不足
衣服:汚れた衣服を着用し続ける、季節に合わない服装
住環境:ゴミ屋敷、不衛生な環境、生活に必要な物がない
健康管理:医療機関への受診を怠る、薬の服用を忘れる
人間関係:家族や友人との交流を避ける、孤立状態
実際に内閣府が行った調査では、高齢者だけの括りでも2010年の時点でおよそ1万1000件のセルフネグレクトが確認されているとのことです。
このことからも他人事ではないという事がお分かりになるのではないでしょうか。
セルフネグレクトと孤独死の関係

※NHK福祉情報サイト参照https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/308/
セルフネグレクトによる大きな影響の一つとして、生きる意欲を失ってしまうというケースが多くあります。
その結果、清掃やゴミ出し、入浴や着替えなどの身の回りのことができなくなってしまうだけでなく、満足に食事を摂ることもできなくなり、不衛生な環境と栄養不良による健康状態の悪化を招きます。
また、セルフネグレクトに陥った場合、人との接触を避けて自室にこもりがちになるケースが多いため、生命の危機的状況にあるような状態であったとしても、周囲の人に気づいてもらうのが遅れてしまい、そのまま誰にも気づかれることなく亡くなってしまうという場合があります。
このように、セルフネグレクトは「孤独死」にも深く関係していることが分かります。
セルフネグレクトに陥る原因
セルフネグレクトの原因は複雑ですが、以下のような要因が考えられます。
1.精神疾患:うつ病、統合失調症などの精神疾患によって、自分自身をケアする意欲や能力が低下することがあります。
2.高齢化:高齢になると、体力や認知機能の低下によって、生活を維持することが困難になることがあります。
3.虐待・ネグレクト:幼少期に虐待やネグレクトを受けた経験があると、自己肯定感が低くなり、セルフネグレクトにつながることがあります。
4.孤立:家族や友人との交流が少ない、社会的な孤立状態にあると、セルフネグレクトにつながることがあります。
セルフネグレクトの特徴
セルフネグレクトには、以下のような特徴があります。
- 身だしなみに無頓着になる
- 家に閉じこもり、外出を控える
- 人との関わりを避ける
- 無気力、無表情、感情を表に出さない
- 自殺願望や自傷行為がある
セルフネグレクトから抜け出すには?

「今の自分の状態が危うい」と認識することが解決に繋がることは確かですが、実際のところ「家庭環境」や「周りの環境」によっては認識できたところで、改善には繋がらないという場合もあります。
また、単純に方法が分からないというケースもあるのではないでしょうか?
セルフネグレクトから抜け出す具体的な方法については以下のようなものが挙げられます。
- 本人とコミュニケーションを取り、理解する
- 医療機関にて診療を受ける
- 福祉サービスを活用する
- 特殊清掃業者に依頼する
1.本人とコミュニケーションを取り、理解する
セルフネグレクトから抜け出すためには、本人とサポートをする人の間に「信頼関係」があることが大切です。
セルフネグレクト状態の人は、心を閉じてしまっていることで、サポートの支援を拒否することも少なくありません。
ここで大切なのが、本人の意見に対して真っ向から「否定」しないということです。
例えば、「支援を受け入れないのはおかしい」と周りの人から言われるのは「自分の気持ちを否定された」と同じことになってしまう可能性が高いといえます。
もちろん、助けたい思いから、その意見を否定したくなってしまう気持ちもあるかもしれませんが、本人の意見を受け入れた上で、根本的な理由を探していくとよいでしょう。
その理由を探していくことが本人の気持ちの理解につながり、結果として信頼関係の築きにつながったことで、「セルフネグレクトから抜け出すための提案」も受け入れてくれるようになる可能性が高いといえるでしょう
2.医療機関にて診察を受ける
心情的な要因が考えられる場合は、精神科などの専門的な医療機関で適切な、診察・治療を受けることも重要な解決法の一つです。
それに当てはまる状況としては、「学校や職場での人間関係によるストレス」または「家庭環境によるストレス」が挙げられます。
また、精神疾患などが要因の場合は自らで改善を期待することは非常に困難といえるでしょう。
その場合は、家族や友人など周りの方が連れ添うことが重要です。
3.福祉サービスを利用する
対象者が高齢者であり、バックアップが必要な場合は福祉サービスに頼るという手もあります。
例えば、経済的な困窮や介護が必要な場合は、市区町村の福祉課( 生活保護や介護保険などの相談窓口)に相談することで現状を良い方向に変えられる可能性があります。
また、地域包括支援センター(全国全ての市区町村に設置)は高齢者や障碍者とその家族まで、誰でも相談することができます。
その他にも、セルフネグレクトによる健康被害の恐れがある場合は保健所が対応してくれるなど、さまざまなサービスが設けられているため、状況に合わせて活用することが可能です。
4.特殊清掃業者に依頼する
セルフネグレクトによって、部屋の片付けをすることができず「ゴミ屋敷状態」に陥ってしまった際には、特殊清掃業者にいらいするのも方法の一つといえるでしょう。
特殊清掃業者は普段、孤独死の清掃だけでなく、「ゴミ屋敷清掃」、「遺品整理」や「生前整理」などの家財整理についても幅広く行っています。
そのため、物の量が多く自力での片付けが困難だと判断した場合には、専門的な知識と技術を有している、特殊清掃業者に依頼することで事態の深刻化を防ぐことも可能です。
ゴミ屋敷の施工事例については、こちらの記事でも紹介しておりますのでご参考ください。
セルフネグレクトを防ぐには?
セルフネグレクトを防ぐためには、以下のようなことが大切です。
自分自身を大切にする
時には仕事の忙しさなどから満足のいく休息をとれなくなってしまう方も多いのではないでしょうか?
その他にも周りの環境によって大きなストレスを抱えている方もいると思います。
そのような状態にある場合は、自分の身の回りのことをする余裕がなくなってしまい、結果としてセルフネグレクトに繋がってしまうケースが多いといえるでしょう。
そのため、自分の心身に気を配り、適度な休息やリフレッシュの時間を取ることでセルフネグレクトも予防することができます。
周囲の人とのコミュニケーションを大切にする
家族や友人など身の回りの環境で「悩みを相談できる」「自分を気にかけてくれる」という環境をつくることも大切です。
そのような環境を作れていない状態を「孤立」としますが、この孤立はセルフネグレクトだけでなく、「孤独死」にも直接的につながってきます。
周囲との良好な関係を築くことができず、周りから孤立してしまい、誰かに悩みを相談することもできず一人で苦しんでしまうというケースがあるのは事実です。
それであれば、周りとコミュニケーションを取ればいいじゃないかと思う方もいるかもしれません。
確かにそうです。
しかし、全ての人が皆、コミュニケーションを取ることが得意というわけではないでしょう。
それに、セルフネグレクトの方に多い傾向として「コミュニケーションが苦手」な方が多いのもまた事実です。
だからこそ、周囲の人が率先してコミュニケーションを図り、未然に防ぐことが大切なのです。
社会的なつながりを維持する
地域の活動やコミュニティを利用して、孤立してしまうことを避けるというのも予防策の一つです。
前文で述べた、コミュニケーションの大切さにも繋がりますが、とにかく一人で過ごす時間だけでなく他の人との関わりをもって、互いに気に掛けることのできる状態を維持することでセルフネグレクトを予防できる可能性があります。
~高齢者のチェックサイン~当てはまったら危険‼
高齢者のセルフネグレクトの兆候を周囲の人間が把握するための、「見守りのためのサイン」というものがあります。
- 具合が悪そうに見える、急に痩せてきたように感じる
- 町内会、サロン、サークルなどの地域の集まりや行事に来なくなった。
- 家に閉じこもってほとんど外に出てこない。長い間、顔を見かけない。
- 認知症や介護が必要な家族を抱え、介護者が疲れている様子がある。
- 今まで挨拶していたのにしなくなった。話がかみ合わなくなった。
- 髪や服装が乱れている、季節に合わない服を着ている。
- 庭が荒れている。家から異臭がする。
- 金銭管理がうまくいっていない、滞納がある。
※東京都福祉保健局資料一部参照
これらはほんの一部ですが、このようにセルフネグレクトに繋がる可能性のある重要なサインを見逃さず、必要な支援につなげることが大切です。
~まとめ~
高齢化社会が進んでいく日本では、セルフネグレクトがさらに深刻化していくといわれています。
高齢者だけでなく、若者のセルフネグレクトも視野に入れた救済措置が必要なことは第一ですが、現段階では、周囲の人がその兆候を把握し、事態が深刻化する前に「予防・改善」を行うことが重要です。
また、近年ではネットの普及が進み、わざわざ外に出なくとも、買い物や仕事ができる環境になってきています。
時代が変わるにつれ、セルフネグレクトの要因は多種多様に変化していくことが予想されるため、時代に合わせた対策を行っていく必要があります。
何度も述べますが、セルフネグレクト状態に陥っていることは、本人にはなかなか気付けないものです。
そのため、家族あるいは友人などの周囲の人がセルフネグレクトの兆候をしっかりと把握し、正しい改善策を事前に知っておくことが大切です。
「片付けなきゃ」と思っていても、ご本人やご家族も仕事や育児、介護などに追われて、気づけば部屋が手に負えない状態に——
そんな経験、誰にでも起こり得ます。
でも、部屋の状態はあなたの価値ではありません。
ごみ屋敷と呼ばれる空間も、きちんと整えれば、また安心して暮らせる場所になります。
Sweepersは、女性のお客様からのご相談も多くいただいています。
「こんな状態、誰にも見せられない」と思っていた方が、片付け後に「やっと呼吸ができるようになった」と笑顔を取り戻す——そんな場面を、私たちは何度も見てきました。
ごみ屋敷の片付け、特殊清掃、遺品整理、原状回復まで、賃貸物件の再貸し出しが可能なレベルで対応しています。
「誰にも言えない」「迷惑をかけたくない」と思っている方こそ、どうかSweepersにご相談ください。
あなたの「もう一度、ちゃんと暮らしたい」という気持ちを、私たちは全力で支えます。
ひとりで抱え込まなくていい。
その一歩を、私たちと一緒に踏み出しませんか。