漏水は、突然私たちの生活に想像を絶する被害をもたらすものです。
築年数の経過や自然災害、施工ミスなど、漏水の原因は様々です。
しかし、多くの場合、実際に何か起きてからでないと私たちはその状況に気づきません。
気付いた時には、もう手遅れ…被害は広がり、取り返しのつかない状況に陥ってしまうのです。
この記事では、一般住宅における漏水によって起こり得るトラブルと、被害を最小限に抑えるための対策について詳しく解説していきます。
あなたの住まいも、いつ漏水の被害に遭うかわかりません。
漏水のサインを見逃さないように、そしていざという時に慌てないように、この知識を身につけておきましょう。
目次
1.漏水の原因

1. 老朽化による配管や蛇口の劣化
長年使用している配管や蛇口は、経年劣化によって劣化し、そこから漏水が発生することがあります。 特に、築30年以上経過している住宅では、漏水のリスクが高くなります。
住宅を建設した時期により使用されている配管が異なるので参考程度にしてください。

劣化しやすい箇所としては、以下の場所が挙げられます。
- 配管の継ぎ目
- 蛇口の根元
- ホースやシャワーヘッドの接続部分
これらの箇所は、定期的に点検し、劣化が見られた場合は早めに交換することが大切です。
2. 地震や台風などの自然災害
地震や台風などの自然災害によって、建物自体が損傷を受け、そこから漏水が発生することがあります。
特に、震度5以上の地震が発生した場合、給水管や排水管が破損する可能性が高くなります。
台風の場合も、強風によって雨戸などが破損し、そこから雨水が侵入することがあります。
自然災害が発生した後は、建物内外をしっかりと点検し、漏水の兆候がないか確認することが重要です。
3. 施工ミス
施工ミスによって、配管や防水層に隙間が生じてしまい、そこから漏水が発生することがあります。
特に、以下のような施工ミスが原因で漏水が起きることが多いです。
- 配管の接続が不十分
- 防水層に穴が開いている
- 床や壁の傾斜が不十分
新築住宅やリフォーム後まもなく漏水が発生した場合は、施工ミスが原因である可能性があります。
修繕のみでなくカビ対策も行うと良いでしょう。
4. 凍結による破損
冬場、気温が低くなると、水道管が凍結し、破損して漏水が発生することがあります。
凍結しやすい配管については以下の通りです。
- 屋外にあるむき出しの配管
- 断熱材が少ない場所にある配管
- 使用頻度が少ない配管
水道管を保温したり、少量の水を出しておくなどして対策を行っておきましょう。
2.漏水のサイン

漏水のサインは、水滴や水シミなどの目に見えるもの以外にも、以下のような様々な形で現れることがあります。
床や壁の異臭: カビや腐敗臭などが発生する可能性があります。
特に、床下や壁裏など目に見えない場所での漏水の場合、異臭が初期症状として現れることがあります。
水道料金の突然の増加: 普段よりも水道料金が大幅に増加している場合は、漏水の可能性があります。日々の水道料金に注意しておくことも重要です。
床や壁の膨らみ: 漏水によって床や壁が膨らんだり、変形したりすることがあります。特に、木製の床や壁は水濡れに弱いため、被害が大きくなりやすいです。壁紙が浮いてしまい気づかれることもあります。
鉄筋コンクリート製の建物での症状: 鉄筋コンクリート製の建物では、漏水が原因で鉄筋が錆びたり、コンクリートが劣化したりすることがあります。
このような場合は、建物の構造的な問題にも繋がる可能性があるため、早めに専門家に相談することが重要です。
家全体の湿度の異常上昇: 漏水によって家全体の湿度が異常上昇することがあります。
特に、ジメジメとした不快感が続いたり、これまで起きなかったカビの異常発生がおきた場合は、漏水の可能性もあります。
床下点検口が浮く:床下点検口の蓋が何故か浮き上がっている⁉これで気づかれる方もいらっしゃいます。洗面脱衣所などに点検口がある場合は浮力により持ち上がる蓋にも注意が必要です。
漏水で実際に起こり得るトラブルとは⁉

1. 床や壁の腐食
漏水によって床や壁が腐食すると、以下のような問題が発生します。
- 床や壁の変形(クロスや床が波打つような状態に)
- 床や壁の破損(なぜか触ると沈むような感じに)
- カビや腐臭の発生(下水のような臭いやかび臭い臭い)
- シロアリ被害
特に、木造住宅の場合は、腐食による被害が大きくなる可能性があります。
床や壁が腐食すると、構造的に弱くなり、建物の倒壊につながる可能性もあります。
また、カビや腐臭は、健康被害を引き起こす可能性があります。
シロアリ被害も、建物の構造を損なうだけでなく、経済的な損失も招きます。
2.近隣への被害
警察庁によると、近隣や職場、家庭トラブルなどで全国の警察に寄せられた相談件数は令和2年に約28万件だったが、昨年は約30万件に増加しているとされています。
※産経新聞https://www.sankei.com/article/20221226-FVCDXSYP6FIHLHICTNVQNOIGLE/
漏水によって水が階下に漏れると、以下のような被害が近隣の住宅に発生する可能性があります。
- 天井や壁のシミ
- 床の腐食
- カビや腐臭の発生
- 電気系統への漏電
近隣への被害は、金銭的な賠償責任を伴う可能性があります。
また、大きなトラブルに発展し、近隣との関係が悪化する可能性もあります。
トラブルにつなげないための対処法

1. 専門家に連絡する
漏水を発見した場合、すぐに専門家に連絡しましょう。
専門家は、漏水の原因を調査し、適切な修理方法を提案してくれます。
以下のような専門家に連絡することができます。
- 水道業者
- 特殊清掃業者
- 保険会社
連絡する際は、以下の情報を伝えましょう。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- 漏水が発生している場所
- 漏水の状況
- 被害状況の写真
専門家に依頼する前に、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
見積もりを取る際は、以下の項目を確認しましょう。
- 作業内容
- 料金
- 工期
- 保証内容
見積もり内容や作業内容を比較検討し、納得できる業者を選ぶことが大切です。
漏水案件の施工はこれまでの実績も確認されることをお勧めします。
3. 被害状況を記録する
被害状況を記録しておくことで、保険金の請求手続きがスムーズになります。
以下のような情報を記録しておきましょう。
- 漏水が発生した日時
- 漏水が発生している場所
- 漏水の状況
- 被害状況の写真
- 修理費用
写真や動画で記録しておくと、より詳細な証拠になります。
4. 保険会社に連絡する
水漏れ保険に加入している場合は、保険会社に連絡しましょう。
保険会社に連絡する際は、以下の情報を伝えましょう。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- 保険契約番号
- 漏水が発生している場所
- 漏水の状況
- 被害状況
保険会社から指示があるので、指示に従って手続きを進めましょう。
一般住宅における漏水トラブルの予防策

水回りの定期的な点検・メンテナンス
漏水トラブルの多くは、水回りの設備が原因で発生します。そのため、水回りの設備を定期的に点検・メンテナンスすることが重要です。具体的には、以下の点に注意しましょう。
蛇口やパッキン: 水漏れや劣化がないか確認します。
排水口: 詰まりや破損がないか確認します。
排水管: 亀裂や破損がないか確認します。
浴槽: カビやひび割れがないか確認します。
トイレ: 水漏れやタンクの劣化がないか確認します。
洗濯機: ホースや排水ホースに劣化がないか確認します。
エアコン: ドレンホースに詰まりや破損がないか確認します。
点検・メンテナンスは、ご自身で行うこともできますが、専門業者に依頼するのもおすすめです。
老朽化した設備の交換
水回りの設備は、経年劣化によって劣化していきます。そのため、10年以上経過した設備は、予防策として交換を検討しましょう。特に、以下の設備は劣化しやすいので注意が必要です。
蛇口: パッキンが劣化しやすい
排水管: 亀裂や破損が発生しやすい
浴槽: カビが発生しやすい
洗濯機: ホースや排水ホースが劣化しやすい
エアコン: ドレンホースが詰まりやすい
結露対策
結露は、カビや木材の腐朽の原因となるだけでなく、漏水にもつながる可能性があります。結露を防ぐためには、以下の対策が有効です。
換気をこまめに行う: 室内外の温度差を減らすことで、結露の発生を抑えることができます。
除湿機を使用する: 特に冬場は、除湿機を使用して室内の湿度を下げることで、結露の発生を抑えることができます。
断熱材を施工する: 壁や天井に断熱材を施工することで、室内の熱を外に逃がさず、結露の発生を抑えることができます。
水栓類の締め忘れ防止
水栓類の締め忘れは、漏水トラブルの典型的な原因の一つです。外出時や就寝前には、必ず水栓類を閉めておくようにしましょう。
地震対策
地震は、水道管などの設備に損傷を与え、漏水を引き起こす可能性があります。そのため、地震対策として、以下の点に注意しましょう。
耐震補強を行う: 建物自体を耐震補強することで、地震による被害を軽減することができます。
止水栓の設置: 各部屋に止水栓を設置することで、地震発生時に迅速に水を止めることができます。
家具の転倒防止: 家具が倒れて水道管を破損するのを防ぐために、家具転倒防止対策を行いましょう。
漏水センサーの設置
漏水センサーは、水漏れを感知してアラームを鳴らす装置です。漏水センサーを設置することで、早期に漏水を発見することができ、被害を最小限に抑えることができます。
定期的な保険の見直し
火災保険や家財保険の中には、漏水による被害を補償するものがあります。定期的に保険の内容を見直し、必要に応じて補償内容を充実させましょう。
一般住宅の漏水トラブルにおける保険の役割

一般住宅で漏水トラブルが発生した場合、状況によって様々な保険が適用される可能性があります。ここでは、代表的な保険の種類と、それぞれの補償内容について詳しく解説します。
火災保険
多くの場合、火災保険には水濡れによる損害を補償する「水濡れ保険」が付帯されています。水濡れ保険は、漏水によって建物や家財が損害を受けた場合に、修理費用や損害賠償金を補償します。
■ 補償対象
漏水によって損害を受けた建物(壁、床、天井など)
漏水によって損害を受けた家財(家具、家電製品、衣類など)
漏水によって発生したカビによる損害
■ 補償対象外
故意または重大な過失による漏水
経年劣化による漏水
地下室やプレイルームなどの特約のない場所
賠償責任保険
漏水によって階下や隣家などに被害を与えた場合、その損害賠償責任を補償するのが賠償責任保険です。加入していることで、被害者への弁済金や弁護士費用などを支払うことができます。
■ 補償対象
漏水によって階下や隣家などに発生した損害
漏水によって発生したカビによる損害
漏水に関する訴訟費用
■ 補償対象外
故意または重大な過失による漏水
契約書で定められた免責額
その他の保険
上記以外にも、以下のような保険が漏水トラブルに役立つ場合があります。
家財保険:火災保険の水濡れ保険で補償されない家財の損害を補償
個人賠償責任保険: 賃貸住宅に住んでいる場合に加入する賠償責任保険
建物保険: 火災保険よりも補償範囲が広い保険
まとめ
この記事では、一般住宅における漏水で起こり得るトラブルと、被害を最小限に抑えるための対策について詳しく解説してきました。
漏水対策を万全にするためには、以下の点に注意することが大切です。
日頃から水回りを点検し、異常がないか確認する
地震や台風などの災害に備え、止水栓の場所を把握しておく
漏水センサーを設置する
水漏れ保険に加入する
漏水が発生した場合は、慌てずに落ち着いて行動することが重要です。
上記の対処法を参考に、速やかに専門家に連絡し、適切な対応を取ることをお勧めいたします。
漏水により内装が傷んでしまった、カビが心配、消毒が必要・・そんな時はまずご連絡ください。