孤独死などの事後処理は「特殊清掃」の専門業者に依頼するのが一般的です。
しかしながら、この業界にも「悪質業者(悪徳業者)」が存在していますので、そのような業者に依頼しないように注意を払わなければなりません。
本記事では、特殊清掃を依頼するべき業者の選び方について解説します。
目次
特殊清掃を業者に依頼するメリット
そもそも、孤独死の後始末は特殊清掃の専門業者に頼まなければならないのでしょうか?
業者に依頼するメリットを解説しましょう。
どんな悪臭でも除去できる
1つ目のメリットは、「悪臭の除去」に関することです。
特殊清掃を業者に依頼するのは、「孤独死」のように遺体が死後しばらく放置されていたケースです。
孤独死などの現場では遺体から腐敗臭が発生し、その臭いが部屋中に染み込んでしまっています。
それが賃貸の部屋だった場合、その腐敗臭を何とかしないと、今後その部屋で誰かが住んだりすることはできないでしょう。
「市販の消臭剤で良いのでは?」と軽く考える人もいるかもしれませんが、死後何週間も放置されていた死臭は、市販の消臭剤などではとても消臭することなどできません。
プロの特殊清掃業者は、専用の消臭用機材を使用して頑固な腐敗臭もしっかり消臭します。そのため安心してその後も住居空間として使用できるように原状回復できるのです。
原状回復できる
2つ目のメリットは「原状回復」に関することです。
孤独死の現場が特殊なのは「腐敗臭・死臭」だけではありません。
「遺体から発生した体液」「遺体で増殖した細菌・ウイルス」のようなものが腐敗した遺体からさまざまな影響を波及させているのです。
これらも素人にはとても太刀打ちできないものです。
持ち家ならまだしも、賃貸の部屋なら、大家さんとの賃貸借契約を解除するためには原状回復しなければなりません。
プロの特殊清掃業者は壁や床を大家さんも賃貸借契約の解除に納得してくれるレベルで確実に原状回復できます。
手間がかからない
3つ目のメリットは「片付けの手間」に関することです。
特殊清掃が必要な現場では、消臭作業や体液の影響による壁紙や畳の交換作業の他に、故人が残した家財の処分など、様々な作業を行わなければなりません。
特に、現場がいわゆる「ごみ屋敷」のようになっていたら、不用品を処分するだけでも数日かかってしまうこともあるのです。
素人の方が片付けに費やせる時間には限りがあると思います。
しかも、腐敗臭やごみなどの影響があるため、近隣の住民は「早く片付けを済ませてほしい」と急かしてきます。
プロである特殊清掃業者は、遺体の影響除去から不用品の処分まで、孤独死の現場に慣れた作業員がスピーディに片付けてくれます。依頼人はほとんど手間をかけずに孤独死の現場を片付けることができます。
不用品の処分も依頼できる
4つ目のメリットは「不用品の処分」に関することです。
孤独死の現場には、故人が生前に使用していた家財の大半がそのまま残っていると思います。
賃貸借契約を解除するなら、これらの家財もすべて室外に退去させなければなりません。
遺体の腐敗が進んでいる場合では、これらの家財にも腐敗臭やウイルスなどが付着している可能性があります(孤独死の現場に残された家財の8割は処分されています)。
素人がこれを片付けるには、やはり1日やそこらでは難しいでしょう。腐敗臭やウイルスが漂う室内での作業は健康を害する可能性が大です。
プロの特殊清掃業者は家財処分に必要な資格も有していますので、遺品・家財の整理および不用品の片付けまで一括して任せることができ、依頼人は手間をかけずに不用品を処分できます。
プロの一言アドバイス
業者によっては不用品処分を別の下請け業者に委託することがあります。
その場合は費用が割高になることもありますので注意しましょう。
あらかじめ不用品処分に関する資格を有している業者を選んでおけば、そのようなことはないでしょう。
特殊清掃を依頼する際の費用相場
特殊清掃を業者に依頼した場合、どのくらいの費用がかかるでしょうか。
間取り別の料金相場
特殊清掃の料金は「間取りの広さ」で変動します。
間取りの広さ | 料金 |
---|---|
1K〜1R(9㎡〜28㎡) | 80,000〜280,000円 |
1DK〜3LDK(25㎡〜70㎡) | 130,000〜480,000円 |
4DK〜(71㎡〜) | 250,000〜690,000円 |
ただし同じ広さの部屋でも、どのような作業が必要になるかということによって、料金も増減します。
特に、死後かなりの長期間放置されていた現場を特殊清掃する場合には、かなり高額な費用を請求されることになるでしょう。
つまり、孤独死の現場片付けを業者に依頼するなら、できる限り早く依頼することが費用を抑えるポイントになるのです。
作業内容別の料金相場
前述のとおり、特殊清掃の料金は「作業内容」によって変動します。
作業内容 | 料金 |
---|---|
体液や血液の清掃 | 50,000〜100,000円 |
基本消臭処理(例 1K) | 18,000〜25,000円 |
消毒、除菌(例 1K) | 20,000〜25,000円 |
畳撤去(体液血液付着) | 5,000〜10,000円 |
建具撤去(体液血液付着) | 5,000〜10,000円 |
オゾン脱臭 OST法 | 35,000円 / 1日 |
必要な作業工程が多い現場であるほど、費用もかさんでいきます。
ただし、同じ作業内容でも業者によって料金は異なります。
複数の業者から相見積もりをとることで、なるべく料金の安い業者に依頼することができるでしょう。
プロの一言アドバイス
いわゆる「ごみ屋敷」の場合、大量にある物のうちどのくらいを不用品として処分することになるかによって、費用は大きく変わります。
不要品が膨大でトラック数台分にもなるような現場では、それなりに費用も高額になります。
悪質業者の特徴
特殊清掃の専門業者に作業を依頼することのメリットを上記で解説しましたが、それはあくまでも「優良業者」の場合です。
この業界においてもいわゆる「悪質業者・悪徳業者」が存在しています。
悪質業者の特徴について解説しましょう。
無許可営業業者
特殊清掃作業を行う際にご遺品の整理を行う事があります。不用品を処分場に持ち込むには許可が必要です。“一般廃棄物許可”この許可の取得は難しいため大半の業者が持っていないと思います。無許可業者が作業場所にトラックを乗り付けたりするのは廃棄物処理法の無許可営業となり、最高で5年以下の懲役、又は、 3億円以下の罰金に処せられます。許可の確認を行いましょう。
強引な営業をしかけてくる
悪質業者は「強引な営業をしかけてくる」という特徴があります。
執拗な営業電話を繰り返したり、契約するまで帰らないといった、かなり強引な手口で特殊清掃の契約を迫ってくるのが悪質な業者です。
手段を選ばない営業手口の中には、有無を言わさない言葉遣いをしたり、理不尽な言いがかりをつけて強引に契約を迫ったり、ひどい場合は恫喝さながらに声を荒げたり、乱暴な態度で相手に恐怖感を与えます。顧客が怖くて断れないような心理状況に追い込む業者がいるのです。
態度は柔らなくても、「今決めたら安くなる!」と調子よく契約を急かす業者にも要注意です。実際には、時期によって費用が安くなるようなことはありませんから。
特殊清掃のプロフェッショナルである私たちSweepersとしては、非常に悲しい思いなのですが、残念ながら、高齢者や女性が一人で対応すると強気に出て強引な営業をしかける悪質業者が後を絶たない現状があります。
優良業者はこのような営業手法をとることは絶対にありません。「強引だな」と思ったら、悪質業者であることを強く疑って警戒してほしいと思います。
遺品を強奪する
悪質業者は「遺品を強奪する」という特徴があります。
「遺品は回収しないでほしい」「遺品を処分しないでほしい」とあらかじめ事業者や作業員に伝えていたのに、誤って大切な遺品を回収されてしまったということは、優良業者でも非常に稀に起こることはありますが、優良な業者なら、万が一こうしたミスを犯しても、補償など対応がしっかりしています。
ところが、悪質業者の場合は、依頼者が見ていないところで、遺品である現金やブランド物など金銭的価値のある宝飾品や貴金属、骨董品などの遺品を故意に盗んだりするのです。
また、いわゆる「へそくり」は最も盗まれやすい遺品と言われています。
これは遺族の知らないところに隠されているのが普通なので、遺族も盗まれたことに気づきにくいのです。
他にも、持ち出しやすい大きさの家電製品やスマートフォン、カード類が入ったままの財布や商品券など、狙われやすい遺品はたくさんあります。
優良業者は決してそのようなことはしませんので、少しでも疑わしいところがあれば、契約しないようにしてください。
まともに作業しない
悪質業者は「まともに作業しない」という特徴があります。前金で支払いを行っているため最後まで作業をしなくても問題ないというのがあるのでしょう。
特殊清掃の業者は、原状回復と遺品整理・処分という手間のかかる作業を代行するものですが、悪質業者はその作業の品質がとにかく低いのです。
雑な作業をして部屋の中(壁など)を傷つけたり、遺品を破損したり、丁寧な作業とはとても言えないような低品質な作業を行います。
しっかり原状回復をしなければならないのに、消臭も不完全、体液の染みついた畳も交換しないなど、適当な作業で作業完了しましたと報告する業者もいるようです。
優良業者は「遺族の気持ちを考えた特殊清掃」を心がけています。丁寧で質の高い作業を厭いませんので、どんなに安い見積もり金額を提示しても悪質業者とは契約しないでください。
相場よりはるかに高額な料金を請求する
悪質業者は「相場よりも高い料金を請求する」という特徴があります。
その厄介な手口は、見積もりの段階では相場よりも安い金額を提示しておきながら、追加料金などの名目で料金を加算し、最終的に相場よりもはるかに高額な費用を請求するというものです。
逆に、見積もりの段階から相場より高い費用を提示する業者もいます。
業者ごとに料金が異なるのは普通ですが、相場をはるかに超えるような金額を提示する悪質業者がいるのです。
特殊清掃を依頼することなど、普通の人であれば一生に一度あるかどうかでしょうから、高い見積もり金額を提示されても、「そのくらいかかるのか」と思って見過ごしてしまうこともあるでしょう。悪徳業者はそういう心理につけ込むのです。
優良業者は、適正な見積もり金額を提示し、よほどのことがなければ追加料金を請求するようなことはありません。見積もりの段階で金額や内容が怪しいと判断したら、契約しないようにしてください。
処分した遺品を不法投棄する
悪質業者は「処分した遺品を不法投棄する」という特徴があります。
優良業者は、不用品(不要な遺品)の処分を依頼されると、適切な方法で処分してくれます。
悪質業者は、回収費やリサイクル料の名目で費用を計上しながら、人目につかない空き地に放置したり、川底に沈めたりして、依頼者や地域に無断で捨てる法令違反を犯します。
業者が不要品をどう処理をしようが関係ない、と思うかもしれませんが、捨てられた遺品から個人情報が判明し、持ち主である故人の遺族が警察の取り調べを受けたりすることもあるので、決して関係のないことではありません。場合によっては加担を疑われて責任を問われてしまう可能性もあるのです。
優良業者は決して不法投棄をしたりすることはありません。不用品処分も依頼するなら、優良業者と契約してください。
プロの一言アドバイス
依頼人の事情によって「キャンセル」することもあります。
悪質業者はそんなとき、高額なキャンセル料を請求します。
悪質なケースでは、契約時に費用の一部を内金として前払いさせ、その返還に応じないという不誠実な対応をする事業者もあるようです。
悪質業者を見極めるポイント
上記のような悪質業者に特殊清掃を依頼しないように、優良業者であることを見極めるポイントをいくつか解説します。
重要な資格をきちんと保有している
1つ目のポイントは「重要な資格をきちんと保有している」ということです。
特殊清掃に関連する資格はいくつかありますが、中でもとくに重要なのは以下の2つの資格です。
これらの資格を有していない業者は悪質業者である可能性が疑われます。
一般廃棄物収集運搬業許可
1つ目の資格は「一般廃棄物収集運搬業許可」です。
簡単に言えば、家庭から出されるごみの多くを扱うことのできる資格となっています。
特殊清掃では家財の多くを処分する必要があるため、この資格を有している業者は家財処分も合わせて依頼でき、下請けに出さないので費用も抑えられる可能性が高いのです。
この資格は取得のハードルが非常に高く、役所の下請け的な意味をもっています。
似たような資格に「産業廃棄物収集運搬」というものがありますが、これは特殊清掃とは関係のない資格ですので、注意してください。
解体業許可
2つ目の資格は「解体業許可」です
特殊清掃になぜ解体業が関係するのかというと、これは特殊清掃の重要なポイントである「完全消臭」の作業にこの資格が深く関わっているからです。
完全消臭にはさまざまな工程があります。たとえば床の消臭なら床の解体を行うこといなるため、完全消臭には解体業許可が必要になるのです。
「解体業許可を有していなければ完全消臭ができない」というわけではありませんが、優良な特殊清掃業者を見分けるためには、解体業許可の有無も確認しておきましょう。
ホームページに料金が掲載されている
2つ目のポイントは「ホームページに料金が記載されている」ということです。
特殊清掃の費用は実際に現場を見ないと具体的には算出できないのですが、優良業者は目安となる料金表を掲載しています。
悪質業者はホームページをもっていても、目安となる料金を明示していないことが多いのです。
特殊清掃を依頼する際には、業者のホームページで料金に関する記載をチェックしてください。
施工事例を確認する
会社のHPの質はもちろん重要ポイントですが、施工事例を確認することも実は大切です。フリー素材を使用している会社や施工事例が少ない会社、他社の施工事例を勝手に掲載している会社などが意外と多いものです。
Twitterなどを確認する
HPを外注する会社も多いので経営者の本音が見えにくいものです。逆にTwitterなどのSNSは経営者の人柄がダイレクトに出やすいものです。ご遺品整理で出てきたものを“お宝やったー”とつぶやいていたりパパ括まがいのことを企業アカウントで行っている方もいるのが悲しい現実です。会社は経営者で色が作られます。事前に調べることができるので下調べに活用するのもいいでしょう。
相見積もりで比較する
3つ目のポイントは「相見積もりで比較する」ということです。
複数の業者から見積もりをもらうことを相見積もりといいます。相見積もりのメリットは、業者の見積もり金額や内容、そして業者の営業態度まで比較できるということです。
実は悪質業者と優良業者では、この3つのポイントで大きく差がつくのです。
たとえば悪質業者は見積もり書の項目が適当だったり、ひどい場合には「一式」として1行しか書いていないこともあります。また見積もりの内容について質問しても、まともな回答をしてくれないこともあります。
そもそも営業担当者の態度もいいかげんなことが多く、優良業者とは比べ物にならない低品質な接客をしているところが多いのです。
1社からしか見積もりをもらわないと、それが悪質業者であっても「こんなものか」と思ってしまって見抜けないかもしれません。そんなことにならないように、ぜひ複数の業者から見積もりをもらい、相見積もりで悪質業者を見抜きましょう。
プロの一言アドバイス
特殊清掃に関わる資格にはさまざまなものがありますが、必要不可欠なものばかりとは限りません。
中には、そもそも不要な資格を持っていることをアピールしている業者もあります。
悪質業者の場合は、観覧に取得できるような資格をいくつも取得し、それをホームページなどでアピールすることで、いかにも優良業者のように見せかけているところがあります。
特殊清掃の相見積もりの注意点
「相見積もりが重要」と書きましたが、特殊清掃の場合は、相見積もりの仕方にも注意が必要です。
相見積もりの業者数を増やすメリット・デメリット
見積もりは何社からもらっても問題はないのですが、見積もりを依頼する業者数を増やしすぎることにはメリットとデメリットがあります。
まずメリットは、見積もりの数が多いほど比較できるデータが多いので、相場を正確に把握できたり、安い業者を見つけられる可能性が高まったりすることです。相場を把握できれば、そこから外れた金額を提示する悪質業者を見抜くためにも役立ちます。
一方で、見積もりを依頼する業者が多すぎることのデメリットは、すべての見積もりが揃うまでに時間がかかってしまうということです。そもそも見積もりを出してもらうためには現場を見てもらう必要があります。複数の業者に入れ替わり立ち替わり現場を見てもらうためには、時間調整の手間もかかりますし、そんなことをしているうちに何日も経ってしまうかもしれません。
特殊清掃の相見積もりは2社が妥当
では、すべての見積もりが揃うまでに時間がかかることがなぜデメリットいなるのでしょうか。
その理由は、「現場の状態が悪化してしまう」からです。
孤独死など特殊清掃が必要な現場では、遺体の影響による悪臭やウイルスなどが大きなトラブルに発展する可能性があります。
現場を放置する期間が長期化するほど、悪臭やウイルスなどの状況は悪化していき、近隣に及ぼす迷惑も深刻なものになっていく可能性が高いのです。また、業者にとっては、状況が悪化することで作業内容が増えていき、見積金額が変動していくことになる原因になります。
もっとも、1社だけに見積もりを依頼すると、先ほど書いたように、悪質業者を見抜くことができなくなってしまいます。
そのため、特殊清掃の場合は見積もりを依頼する業者を2社程度に絞るのがおすすめです。
プロの一言アドバイス
最近では、ほとんどの業者が「見積もり無料」としていると思います。
しかし中には、契約までいたらない場合は見積もり書を発行した事務手数料を要求する、という業者もないわけではありません。
相見積もりで各社の見積もりを比較するということは、最終的な1社以外には見積もりだけ依頼して契約はしないということですので、見積もりが無料だということを確認してから見積もりを依頼するようにしてください。
【まとめ】悪質業者はデメリットだらけ、特殊清掃は優良業者に依頼しよう
特殊清掃を依頼する業者はポイントをしっかり押さえて選定しないと、さまざまなデメリットに見舞われてしまう可能性があります。
優良業者は確実に良い仕事をしてくれますので、相見積もりで各社の見積もりや営業の態度などをしっかり比較し、悪質業者を避けて契約してください。
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