ご依頼経緯 ご遺族からの予期せぬお電話。「娘が選んだ会社です」
いつものようにフリーダイヤルが鳴った夕飯時。ご遺族から一本のお電話をいただきました。
大切なお嬢様を自死で亡くされたという、あまりにも痛ましい内容でした。
今にも泣きだしそうな声ででも平静を保とうとするのが電話越しに伝わってきたのが印象的です。
「実は、娘が……。自分が亡くなったあとの事はすべてはここにお願いしてほしいと、封筒にSweepersの会社名、小山さんの名前、連絡先、HPのURL、そして作業代としての現金を書き残していたんです」
自ら命を絶とうと切羽詰まった状況の中で、彼女は残されるご家族が業者選びで迷ったり、悪い業者に騙されたりしないよう、自らSweepersを探し出し、最期を託してくださったのです。 かける言葉も見つからないほどの衝撃を受け、作業までは色々と考えて眠れませんでした。
故人はなぜうちを選んだのか、生きているうちになぜ連絡をくれなかったのか・・。
選んでいただいたからにはご期待に沿えるよう、しっかり務めさせていただこうと心に誓いました。
現場状況 彼女が準備した自分の最期の場所
現場は茨城県内のつくば市内にある賃貸アパートの一室でした。
通常、自死の現場であれば「特殊清掃(体液除去や消臭)」が必要になるケースがほとんどです。しかし、室内に入るとそこには、いつも私が見ている凄惨な状況とは異なる光景がありました。
発見まで2日という短期間であったこと、そして季節的な要因に加え、冷房が稼働し続けていたこと。 何より驚いたのは、彼女が亡くなる前に、自ら床や壁にへビニールシートとペットシーツを敷き詰め、彼女自身が死後に起きる変化を知っていて建物に体液などが浸透しないよう徹底した準備をされていたことでした。室内は生前に片付けがされておりシングルベッド、デスクセット、洗濯機、冷蔵庫、テレビ、わずかな文房具と衣類、友人らと撮った写真などのアルバム、デジカメだけ・・。
その徹底した配慮の結果、ご遺体による腐敗の影響は全くなく、プロの目で見ても特殊清掃は必要ないと判断しました。 「今回は遺品整理のみで大丈夫です」 ご遺族の金銭的な負担を最小限に抑えることが、彼女の意図した「家族に迷惑をかけない」という願いに最も沿う形だと確信し、誠実にお伝えしました。
作業内容 故人からの気遣いと手紙

作業を進める中で、私が手を止めた瞬間がありました。 空っぽになった冷蔵庫の中に、コンビニ袋に入った複数のペットボトルが残されていました。その袋には、可愛らしい付箋で直筆のメッセージが添えられていたのです。
「ご迷惑かけてすみません。新しく買ったものです。よかったら皆さんで飲んでください。大変な作業ありがとうございました」と書かれていたからです。
これから旅立とうとする人が、わざわざ作業員全員分の新しい飲み物を購入し、今日この日のために準備してくれていた。 特殊清掃という仕事をしていて、当たり前ですが普段、故人様から直接お礼を言われることはありません。もうこの世にはいない彼女の思いやりとやさしさ、強さを感じたような気がしてなりませんでした。
遺品整理の作業は、大物以外は彼女自身が生前に行ってくれていたので比較的短時間で完了することができました。 Sweepersでは代表である私自身も現場に立ち、すべての工程を自社で完結させています。
今回もそのまま管理会社、大家さんへお引き渡しができるようクリーニングも行いきれいな状態にさせていただきました。
もちろん自死を肯定するわけではありません。ただ、一人の若い女性があらゆることを考え、準備し、最期に私たちを頼ってくれたという事実を、ありのままに受け止め、私たちができることを精一杯させていただいたということ。
完了・お引き渡し

すべての遺品整理が終わり、お部屋をご両親にお引き渡し。
ご両親からすれば、いくらお部屋が綺麗になっても、心の傷がいえることがないのは同じ子を持つ母として十分理解しております。「いろいろ準備して、お金まで自分で貯めて・・迷惑をかけられてもよかったのに」というご両親の言葉がこの先私の心から消えることはないでしょう。
ただ、生きていてほしかった。
それでも、彼女が望んだ通り、悪い業者に騙されることなく、不当な請求もなく、選んでいただいた私たちの作業によってお部屋を元の状態に戻せたこと。それは、先立つことで両親を悲しませると分かっていた彼女からご両親への「最後の親孝行」であり、彼女自身が望んだそのお手伝いができたのではないかと感じています。
ご依頼詳細
依頼者 ご両親
作業内容 遺品整理、クリーニング
作業日数 1日
作業人員 3人
作業代金 190,000円 「別途窓ガラス修理22,000円」

2026.4.30



